このページは、1ヶ月以上の死闘の末に私が編み出した、猫の糞尿対策のお話です。
お食事が終わってからお楽しみください。
猫撃退法の総括はこちら 猫にエサを与えている皆さんへ
私は自営業。自宅と4メートルほどの道路を挟んだ向かいの工場が私の勤め先。
ある朝、いつものように自宅の庭を抜けて20秒ほどの通勤をしている途中で、ある異変に気が付いた。
なんか臭う。
クサイ。気持ち悪くなるようなクサイ臭いが漂っている。
「いったい何の臭いだ?」
その臭いの正体を探るべく、注意深く足元を探りながら進んでいくと、庭の通路の真ん中に毒々しい色の気持ち悪い物体を発見。
近づいて確認しなくても、形と異臭でそれが何であるかすぐに分かった。
「ウンコ」
そう、それはウンコだ。
緑がかったヘドロのような色をしている。色から推測するに人間のウンコじゃないみたい。
第一、人間がこんなところにウンコをするはずがない。
となれば・・・・・
この状況、そして太さや量から判断して・・・・・・
と言っても、棒でこねくり回しながらじっくり観察したわけじゃないけど(^_^;)
どうやらネコの糞の様だ。
「何でわざわざ通路の真ん中にするんだよっ!」
せめて庭の草木の奥にしてくれたら目に触れることもなかったでしょうに。
壁と車の間の1メートルほどの通路のまさにど真ん中に、これ見よがしにフンをしていきやたった。ネコに愉快犯としての資質が備わっているなら、これは完全なる嫌がらせだ。
「どうする、これ・・・・」
イヌもネコも飼った事がない私。今までに直面したことのない問題と物体に、しばらくの間
頭の回転が停止状態に。しかしすぐに私の生命維持の本能が危険を感知した。
「グェ〜、とりあえずこの臭いを何とかしないと死ぬぞ〜」
会社に飛んで行き、スコップを持ってくる。そして乱れた呼吸を整え、悪臭を吸い込まないように呼吸を止めて糞をスコップですくう。すくって処分しようと思った時に気が付いた。
「これ、どこに捨てればいいんだ?」
何も考えていなかった。
というより、考えるには精神的にも肉体的にも衛生状態が劣悪すぎた。
「く、く、苦しい」息が続かない。このままでは悪臭に殺される前に窒息死してしまう。
フンをすくったままのスコップをその場に置いてダッシュで道路に緊急退避。
「プッハァ〜」
何とか窒息死せずにすんだ。
そして脳に酸素が十分行き届いたところで、処分方法について思案する。
「イヌやネコを飼っている人は、どう始末しているんだろう」
やはりビニール袋に入れて生ゴミとして捨てるのだろうか。
でも、あの糞をビニール袋に入れるような作業は高度な正確性を要求され、かなり接近した状態での長時間ミッションが想定される。そんな特殊訓練を私は受けていない。
万が一、フンが手にでも付いたら取り返しの付かない事になる。却下!。
「便所に持っていって流してしまうか?」
しかし、砂利ごとすくったものを便所に流しても大丈夫なのか?。それに、あの異臭を室内に持ち込むのは抵抗がある。
と、そこで気が付いた、便所から通じる下水に捨ててしまえばよい。
われながら良いアイディア。
家の裏に回り、地面に埋め込まれた30センチくらいの丸いコンクリート製のフタを開け、その下にある下水溝にポイ。何とか一件落着です。
「まったく、人の迷惑も考えろよな〜」
洗面所で100回くらい手を洗いながら、見えない相手に捨て台詞。
それから2,3日が過ぎて・・・。
朝、会社に行こうとすると、また通路の真ん中に猫の糞が。
しかも律儀なことに前とまったく同じ場所。
「ふざけんなよっ!」
さすがに2回目ともなると腹が立つ。
怒りのこぶしを振り上げる。振り下ろす相手はネコか?、ネコの飼い主か?。
しかし、どちらも姿なき相手。猫であるという証拠すら掴んでいない。
腹が立つが仕方がない。またいそいそと猫の糞の後始末。
しかし、悪夢はまだ始まったばかりでした。
次の日も、また次の日も、毎朝毎朝、通路の真ん中にネコのフンが転がっているようになりました。
「猫を飼っていないのに、何でネコの糞の始末をしなくちゃならないんだよ」
どう考えたっておかしな話です。考えれば考えるほど腹が立つ。
しかし、話の通じる相手ではありませんし、姿さえも見ていません。
黙ってフンをスコップで始末するしかありません。
「ネコって、ちゃんとトイレを覚えるんだよなぁ」
部屋で飼っているネコは、一度トイレを教えてあげれば、トイレの場所を覚えてくれると言う話を聞いたことがあります。
と、言うことは、この猫はここがトイレだと思っていると言うことか。
一度トイレだと認識してしまったら、一生ここをトイレだと思い続けるって事か?。
まずい、このままでは私は一生ネコのフン係になってしまう。
ネコのフン係なんかに落ちぶれるのは嫌だ!。
一念発起、ネコ撃退作戦の開始です。
さっそくホームセンターに行って、ネコ撃退用の薬品を買ってきました。
猫の嫌がる臭いの粉末、「忌避剤」というそうです。お値段は500cc程度で700円。
人間には優れた化学力があることを、あのネコは身をもって経験することでしょう。
最先端化学の結晶である忌避剤を、説明書通り猫が糞をする場所に盛り塩のように盛る。さらに庭の入り口にも同じように盛りました。
「フッフッフッ、これで、ここはもはや安心して用を足せる場所ではなくなった」
明日の朝の光景が目に浮かびます。
ウンコをしにやってきた猫。でもウチの庭の入り口には忌避剤が盛られている。
ウンコはしたい。でも忌避剤は耐えられない。
猛烈な便意に顔中脂汗がにじみ、プルプル足を震わせながら、内股爪先立ちで庭の入り口を右往左往している猫の姿。
「プププッ」思わず笑みがこぼれます。
次の日の朝、どうなっているかワクワクしながら庭に出てみると、見事、文明の利器は下劣なネコの侵入を完璧にシャットアウトしてくれました。
「よっしゃ〜」
久々にすがすがしい朝を迎えることが出来ました。
気持ちいいですね、最高の状態で仕事に入ることができました。
しかし私の人生は、幸福が長く続かないように設定されているようです。
3日後の朝。また猫にフンをされてしまいました。
化学の結晶である忌避剤は前日の雨によりすっかり流されてしまっていました。
そしてこのネコは、わずかにの残った忌避剤を糞にかける砂代わりに使用し、私に対し挑発と侮辱を以って精神的ダメージを与える高等戦術を駆使してきました。
「くっそ〜、こうなったら〜」
熱くなるのが私の性格。ホームセンターに行ってネコ撃退用の薬品を追加購入。しかも2本。
「これならどうだ〜〜」
雨上がりの庭に前にも増して高々と忌避剤を盛ってやりました。
しかし、運が悪いことに今年の秋は雨が続いた。
雨降るたびに忌避剤を盛りなおして何とか猫の侵入を防いでいたため、購入した2本の忌避剤は、あっという間に底を付いてしまいました。
高い薬品です。猫の侵入を阻止するためにずっと買い続けるなんてとても無理です。
先日受けた精神的ダメージの傷も癒えぬ間に、経済的ダメージがボディーブローのように効き始めました。ネコの戦術は先の先まで見越した巧手のようです。
って、ただフンをしているだけなんですけどね(笑)。
「ネコに負けるのか・・・・・」
どうにも止まらない猫の侵攻に、もはや打つ手もなく敗色濃厚。
しかし、あきらめるわけにはいきません。
「ネコの嫌がる臭いの成分って何なんだろう」
ふとそう思い、カラになった忌避剤のボトルを見てみるとそこには「酢」の文字が。
「酢か。酢ならもっと安い値段で手に入るぞ」
さっそく台所から酢を持ってきてネコが糞をする場所にまいてみました。
するとどうでしょう。次の日からネコがフンをしなくなりました。
「やった〜!」
多少に酢のにおいが気になりますが、夜撒いておけば朝には臭いは抜けています。
しかし、嗅覚が優れ、地面を這うように歩く猫にとってはかなりきつい臭いでしょう。
勝利です!。とうとう猫に勝利しました。これでやっと平穏の日々をすごせます!。
この時、私の人生は幸福が長く続かないように設定されている事をすっかり忘れていました。
一週間ほど経ったある日、また通路にネコが糞をしていました。
「なんで?昨日の夜ちゃんと酢を撒いたはずなのに・・・」
撒き忘れたのかと思い、その晩はしっかり酢を撒きましたが、やはり次の日フンをされてしまいました。
忌避剤のラベルに「長期間使用して臭いに慣れてしまった場合は、他のタイプをお試しください」と、姉妹品の紹介が載っていたのを思い出した。どうやら猫は酢の臭いになれてしまったようです。
もはや万策尽き果てました。トイレに行きたいというネコの本能は、私ごときの浅知恵でどうこうできるものではないようです。完敗です。
また、毎朝ネコの糞の始末をする日々が始まりました。
朝食を食べていても、この後しなければならないフンの始末のことを考えると、食べ物がまともにのどを通らなくなりました。
糞はきちんと始末しているつもりなのですが、取りきれていないのか、通路は一日中フンの臭いが漂います。そして、ハエが飛び交うようになり・・・・・
「捕まえるしかない」
もはや限界。猫を捕まえて保健所に持っていくしかない。
でも、姿さえ見たことないやつを捕まえられるのか?。
「ならば、殺すしかない」
殺鼠剤をばら撒けば、勝手に食べて勝手に死ぬだろう。
しかし、いくら精神的に追い詰められたとはいえ、この作戦を決行する決断はなかなか下せませんでした。
そんなある日、いつものように殺鼠剤作戦決行の決断を下しかねながらネコの糞を片付けていた時、新たなるアイデアが頭に浮かんだ。
「そうだ、食わせればいいんだ!」
そう、別に毒を食わせる必要はない。普通のエサを食わせればいいんだ。
えっ、悪臭で気でも狂ったかって?。いえいえ、そうではありません。
まずは、猫がフンをする所にエサを撒きます。
最初のうちはエサを食べたあとに糞をするかもしれない。
でも毎朝、自分がフンをした所に置いてあるエサを食べているうちに、自分がしているマヌケな行動に気が付くでしょう。
「なんでこのエサは糞まみれなんだよ。誰がエサがある所にフンをしたんだ?。あっ、フンをしているのは俺だった!」ってね。
そして自分の愚行を恥、顔を赤らめながら去っていくことでしょう。めでたし、めでたし。
トイレと思っている場所を餌場に変える。清潔好きな猫のことですから、餌場の近くには糞をしないはず。さっそく作戦実行です。
フレーク状になっている猫のエサをペットショップで購入。
初日はエサの存在に気が付いてもらうために大盤振る舞いです。
猫がどのようなルートで入って来てもエサの存在に気が付くように、通路全体50センチ間隔でエサを1粒置きました。そしてトイレと化した場所には100円ショップで購入したエサ皿を置き、その中に少しまとめてエサを入れました。
次の日。
エサ皿のエサも、撒いたエサも綺麗さっぱり食べられていました。
しかし、やっぱりフンが・・・。
家族からは「この糞はエサをもらったお礼だね」と、揶揄されてしまいました。
しかし、子供の頃から動物が好きで、動物の習性を熟知している私には、この作戦は完璧としか思えません。
「餌場にはフンをしない」それは動物にとって健康を維持するための根本的な本能のはず。
さらに元来ネコは肉食。良質な狩場に自分の形跡を残すような愚行はDNAが許さないはず。
そう信じて家族からの嘲笑をよそに作戦続行です。次の日は雨のため作戦は中止。
そしてその次の日。
前日にセットしたエサは全部食べられていました。
「フンは?フンはないのか」
地面を凝視し「フンは、フンは」と必死にフンを探し回る私の姿は、誰がどう見たって正気の沙汰とは思えない奇怪な行動だったことでしょう。
血眼になってあたり一面探し回りましたが、とうとう糞の姿はどこにもありませんでした。
次の日も、その次の日も。エサは食べられているけどフンは無し。
そして糞をされなくなってから一週間後、猫との戦いに勝利した事を確信いたしました。
長い長い戦いで、精神的にも肉体的にも経済的にもかなりのダメージを負いましたので、この勝利は格別のものとなりました。
おいしい朝食、庭の澄んだ空気、そして気持ちの乗った始業・・・・・。
すべてが元通りになりました。
諸手を上げて喜びたい所ですが、よくよく考えてみると「ネコのフン係」から「ネコのエサ係」になっただけなんですよね。とりあえず昇進と考えていいのかな?。
日中、エサ皿の中に猫のエサを1粒入れておくだけ。
ただその1粒だけで猫は糞をせずに通り過ぎてくれるようになりました。
コストは一日一粒。1円にも満たない金額です。
ちなみに私が買ってきた猫のエサは350グラム入りで400円。
1粒0.135グラムでしたので2592粒入り。7年間もちます(笑)。
一時期は「やるか、やられるか」の関係でしたが、お互い少しずつ譲歩することで何とか共存と言う形を取ることが出来ました。理想に近い形で決着が付いてよかったです。
しかし、ウチでフンをしなくなったと言うことは、もしかしたらよそのお庭にご迷惑を・・・・・・?。
そんなときは毎日1粒ネコにエサをあげてください。
この方法を生活情報番組に投書したら賞金もらえるかな?(笑)。
ネット上でこの糞害対策方法が少しずつ広がり、そして糞害対策の定番として語られる様になったら、それはそれはとてもおもしろい事ですね。
【ネコのフンでお困りの方はこちら】
|