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2006年10月2日 スーパーボーナス
10月1日、ボーダフォンがソフトバンクモバイルへと社名を変更しました。

社名を変更しただけなら特に問題は無いんですけど、そこには私のような凡人には理解できない商取引がありました。

ソフトバンクがボーダフォンを買収するのに使った費用は1兆7000億円以上。
そのお金をソフトバンクが払うのではなく、買収されたボーダフォンが払うというのです。
「レバレッジドバイアウト」とかなんとか言う方法らしい。

ソフトバンクの孫社長は「ボーフォンは3000円億円の経常利益があるから返済可能」といっ
ておりましたが、その3000円億円って、コンテンツや通話エリアの充実など、私たちユーザ
ーのために使われるはずだったんじゃないの?。

オーナーが右から左に変わってしまっただけで、いきなり1兆5000億円もの有利子負債を抱
えてしまったボーダフォン。この借金は実質、私たちボーダフォンユーザーが払って行く事に
なります。

ボーダフォンユーザーは1500万人程度。1人当たりなんと10万円の負担になります。
もちろん金利が0%だったと仮定しての話ですけどね。

ボーダフォンからソフトバンクモバイルへと社名が変われば、あのヤフーのようにビックリする
ような低価格戦略が見られるかもしれないと予想していた方も多かったと思いますが、これだ
けの負債を抱えてしまったのですから、私は値上げされるかもしれないと一抹の不安を抱い
ておりました。

そして、新しい料金体系が公表されました。

新しく開設されたソフトバンクモバイルのホームページを隅々までくまなく調査。
基本的な料金プランはまったく変化無し。ただ、一つだけ大きく変わった事がありました。
それは、ほとんどの人が加入している基本的な割引プランである「ハッピーボーナス」が廃止
され、「スーパーボーナス」なるプランが新設された事。

「スーパーボーナス?」

これはかなり怪しい。表面上は前の割引サービスより安くなっているように見せかけて、実際
は割高な料金を払わせようとする、携帯電話料金特有のカラクリのにおいがプンプンします。

うまくだまそうと、ソフトバンクのブレーンが知恵を出し合って考えた割引プランの説明文か
ら、真実を探し出しましょう。こういうのって大好き、とってもワクワクします(笑)。

割引プランの説明のページに行くと、まず最初に目に飛び込んできたのは下の表。

スーパーボーナス継続割引(新型)
1年目
2年目
3年目
4年目
5年目
6年目
7年目
8年目
9年目
10年目
11年目〜
15%
OFF
15%
OFF
18%
OFF
20%
OFF
23%
OFF
26%
OFF
29%
OFF
32%
OFF
35%
OFF
38%
OFF
41%
OFF

そして、旧型のハッピーボーナスは下の表。

ハッピーボーナス(旧型)
1年目
2年目
3年目
4年目
5年目
6年目
7年目
8年目
9年目
10年目
11年目〜
15%
OFF
15%
OFF
17%
OFF
19%
OFF
22%
OFF
25%
OFF
28%
OFF
31%
OFF
34%
OFF
37%
OFF
40%
OFF

ハハハッ、ものの見事に各年1ポイントずつ値下げになっていますね(笑)。
「まあ、1ポイントとは言え、値下げになっているんだから良しとしますか」
と、思ったのもつかの間、かなり引っかかる事を思い出しました。

「あっ、そういえばハッピーボーナスって、1年のうち2ヶ月は基本料が無料だったよな」

12ヶ月のうち、2ヶ月が無料ということは16.7%OFFってこと。ということは、かなりの値上
げになっていそうな雰囲気です。どれくらい値上げになっているか、詳しく計算するのはあとに
して、とりあえずスーパーボーナスの説明を先に読み進めましょう。

「12ヶ月ごとに、2000ポイントもらえるのか・・・・」
2000ポイントといえば実質4000円。この金額で旧型の「1年のうち2ヶ月は基本料無料」と
いうサービスが相殺された気分にさせようという魂胆かな?。

他にも、ソフトバンクモバイルに新規加入すると2ヶ月間基本使用料が無料ですとか、携帯電
話を購入した時には購入費を相殺するだけの割引が得られる「スーパーボーナス特別割引」
などがありますが、すでにソフトバンクモバイルに加入していて、機種変もめったにしない私に
とっては無意味なサービス。

逆に、新規加入した方や、携帯の機種変を頻繁にする人のために、私が少なからず負担を
強いられる事になりますので、私にとっては実質「割り増し」サービスのようです。

私にとって利益になるサービスは、スーパーボーナスに加入すると1万円キャッシュバックされ
ることぐらいかな。

「ハッピーボーナスからスーパーボーナスへ契約変更すると1万円キャッシュバックか・・・」

しかし、どうも1万円をちらつかせて、冷静な判断をさせずにスーパーボーナスへ加入させてし
まおうという作戦に思えてなりません。

しかし、ここまででは旧型のハッピーボーナスも、新型のスーパーボーナスもそれほど割引は
変わらないみたい。1兆5千万円の負債を抱える事になったのに大丈夫なのでしょうか?。

どうやら心配には及ばないようです。

このスーパーボーナスに入るには「デュアルパケット定額」に入らなくてはならないのです。
デュアルパケット定額は最低でも1050円。パケット定額などに入らずに、ただ携帯を持って
いるだけという低額利用者層からの料金徴収を、一律1050円底上げしてしまおうと言う作戦
のようです。

そしてさらに、パケット定額を手にした人が「無料分を使わないともったいない」とばかりに、携
帯でインターネットを楽しむようになると、「今はまだ使用人口が少ないため成立していない」と
孫社長が語る携帯電話でのインターネットビジネスが確立できるようになるわけです。

インターネットといえばヤフー。auやドコモを自分の土俵に引きずり込む事が出来ます。

まさに一石二鳥。

ハッピーボーナスに何年入っていようと、スーパーボーナスに乗り換えると1年目からの計算
になるため、ソフトバンクにしてみればここ数年は確実に増収。そして数年がたち、継続割引
の割引率増加によって収益が減少する頃には、インターネットビジネスの増益が期待できる。

巨額な負債を早く返済して将来の増益につなげたいソフトバンクモバイルにとってはまさに妙
手。こんなすばらしい案を考え出したソフトバンクモバイルのスタッフに拍手です。

とりあえず概要は裏の裏まで分かりましたので、ハッピーボーナスと、スーパーボーナスでど
れくらいの差が出るか計算してみましょう。

私は自宅で自営業。身の回りには会社用、自分用あわせて3台もパソコンがあり、いつでもイ
ンターネットに接続できます。また電話回線も3回線あり、私用の電話は自室にあるコードレ
ス電話の子機を使用しておりますので、携帯電話はほとんど使っていません。一番安い「バリ
ューパック」で契約していますが、それでも毎月2000円の無料通話分をもてあます程。

バリューパックは月額基本料3900円。
他にも消費税やオプションなどがありますが、これはハッピーボーナスでもスーパーボーナス
でも同じ事ですので、計算を簡単にするため、基本料のみの3900円で計算してみます。

さらに、ハッピーボーナスの無料月は14ヶ月目からだとか、スーパーボーナスのポイントバッ
クは27ヶ月目からといったハンパな設定をそのまま使うと単純比較ができないため、便宜
上、これらは全て加入当初から起算しました。

さて、どんな結果が出るでしょうか。

ハッピーボーナスとスーパーボーナスの比較(1年目)
ハッピーボーナス(旧型)

バリューパック 3,900円
スーパーボーナス(新型)

バリューパック 3,900円
1月目
基本料の15%OFF 3,315円
基本料
パケット定額
初回キャッシュバック
合計
初回2ヶ月間無料
初回2ヶ月間無料
-10,000円
-10,000円
2月目
同 3,315円
基本料
パケット定額
合計
初回2ヶ月間無料
初回2ヶ月間無料
0円
3月目
同 3,315円
基本料の15%OFF
パケット定額
合計
3,315円
1,000円
4,315円
4月目
同 3,315円
同 4,315円
5月目
同 3,315円
同 4,315円
6月目
同 3,315円
同 4,315円
7月目
同 3,315円
同 4,315円
8月目
同 3,315円
同 4,315円
9月目
同 3,315円
同 4,315円
10月目
同 3,315円
同 4,315円
11月目
毎年2ヶ月間無料
同 4,315円
12月目
毎年2ヶ月間無料
4,315円
毎年ポイントバック
 -4000円
合計
 2315円
合計
33,150円
29,150円

スーパーボーナスには新規加入の10,000円キャッシュバックと、初回2ヶ月間無料があっ
たのに、1年を通したら4000円まで差が縮まってしまいました。
キャッシュバックなどがなくなった2年目以降は一体どういう事になるんでしょう(^_^;)

ハッピーボーナスとスーパーボーナスの比較(2年目)
ハッピーボーナス(旧型)

バリューパック 3,900円
スーパーボーナス(新型)

バリューパック 3,900円
1月目
基本料の15%OFF 3,315円
基本料の15%OFF
パケット定額
合計
3,315円
1,000円
4,315円
2月目
同 3,315円
同 4,315円
3月目
同 3,315円
同 4,315円
4月目
同 3,315円
同 4,315円
5月目
同 3,315円
同 4,315円
6月目
同 3,315円
同 4,315円
7月目
同 3,315円
同 4,315円
8月目
同 3,315円
同 4,315円
9月目
同 3,315円
同 4,315円
10月目
同 3,315円
同 4,315円
11月目
毎年2ヶ月間無料
同 4,315円
12月目
毎年2ヶ月間無料
4,315円
毎年ポイントバック
 -4000円
合計
 2315円
合計
33,150円
47,780円

33,150円と47,780円。ハハハッ、話になりません(^_^;)


新型のスーパーボーナスは

3,900円(月額基本料)×継続割引率×12ヶ月+1000円(パケット定額)×12ヶ月


旧型のハッピーボーナスは

3,900円(月額基本料)×継続割引率×10ヶ月(2ヶ月間は無料のため)



と、なります。
これを元に11年先まで料金を比べてみると・・・・。

ハッピーボーナス(旧型)

バリューパック 3,900円
スーパーボーナス(新型)

バリューパック 3,900円
1年目
33,150円
29,150円
2年目
33,150円
47,780円
3年目
32,370円
46,376円
4年目
31,590円
45,440円
5年目
30,420円
44,036円
6年目
29,250円
42,632円
7年目
28,080円
41,228円
8年目
26,910円
39,824円
9年目
25,740円
38,420円
10年目
24,570円
37,016円
11年目以降
23,400円
35,612円

メチャクチャ割高です(^_^;)

今までパケット定額に入っていなかった人は、スーパーボーナスに加入してしまうと強制的に
パケット定額料12,000円/年が増額されてしまいます。パケット定額など必要ない人は、単
純計算でスーパーボーナスより、ハッピーボーナスの方が年12,000円もお得。

パケット定額に入っている人でさえ、スーパーボーナスの2000ポイント(実質4000円)還元
と、ハッピーボーナスの2か月分基本料無料を天秤にかければ、ハッピーボーナスの方がお
得という事が分かるでしょう。割引率は1ポイントしか変わらないんですから。

「スーパーボーナス」というのは、つまるところ、ソフトバンクモバイルにとってスーパーなボー
ナスのようです。

数字には自信のある私でさえ、スーパーボーナスの説明を読んでいるとハッピーボーナスより
お得になるのではないかと錯覚してしまうぐらいですから、数字が苦手な人は簡単にだまされ
てしまうでしょうね。

料金値下げのように見せかけて、実は料金値上げ。
1兆5千万円もの負債を抱えてしまったソフトバンクモバイルの苦悩が垣間見れます。

「スーパーボーナスなど入るだけ損。私はずっとハッピーボーナスで行きます」
そう決意した時ひとつの疑問が湧いてきました。
「このまま、ハッピーボーナスを続ける事って出来るのかな?」

相手は、やり手の孫社長です。
もしかしたらハッピーボーナスの契約更新が出来ないような手を打っているかもしれません。

ソフトバンクモバイルのホームページには、この事について詳しく書かれていませんでしたの
で、仕方なくソフトバンクモバイルに電話をかけて聞いてみました。
すると、とんでもない事実が発覚。

ハッピーボーナスの契約更新は出来るそうです。しかし、2G端末のハッピーボーナスと、3G
端末のハッピーボーナスは別物ですので、2Gから3Gへ端末を変更すると、ハッピーボーナ
スの更新ではなく新規契約となるため、ハッピーボーナスには入れず、スーパーボーナスまた
は継続割引に入るしかないとの事。

継続割引は最大15%OFFというチンケな割引。
長年使うとパケット定額付きのスーパーボーナスの方が安くなるというばかげた割引です。

さすが孫社長。2Gから3Gへの移行率が低いボーダフォンのマイナス要因を逆手に取ったす
ばらしい戦略です。そして「退路を絶て」といわんばかりに、あんなにあった2G端末のラインア
ップを、いきなり2機種のみにしてしまいました。

私の携帯電話は2G端末。孫社長自らおっしゃっていた「やぼったい端末」です。
安いハッピーボーナスに加入し続けるためは、この端末をこれからも使い続けるしかありませ
ん。もし、派手に宣伝されているスタイリッシュな3G端末を手に入れるのならば、スーパーボ
ーナスに加入して年12,000円の負担増を受け入れる必要があります。

「そういえば、孫社長は1兆5千億円の借金を5年で返すって言ってたよな」
ソフトバンクモバイルユーザー1人当たりの返済金は10万千円。
私がスタイリッシュな3G端末欲しさにスーパーボーナスに加入すると、5年間で6万円の負担
増。なんだかなぁ〜(^_^;)

ハッピーボーナスは2年契約。そして今年の12月が更新月です。
「これから先、2年間もあの重くて分厚い携帯電話を使うなんて・・・・」

最新のソフトバンクモバイル3G端末を見ていると、とてもそんな事は出来そうにありません。

はやり孫社長には逆らえないようです。ハッピーボーナスの契約を更新せず、薄くて軽いスタイリッシュな3Gケータイを購入し、スーパーボーナスにも加入しましょう。

そして、毎年12,000円の負担増を受け入れ、ソフトバンクモバイルの1兆5千億円の借金返済にご協力いたしましょう。

「あの時、2Gではなく3G端末を購入しておけば・・・・」

しかし、2年前にはこんな事になるなんて思ってもいませんでした。
9月30日に戻れるなら、2Gを解約し、3G端末でハッピーボーナスに入りたい。高額な違約
金が発生しますが、ハッピーボーナスとスーパーボーナスを比べれば2年で元が取れてしまい
ます。そして、そのあとは毎年12,000円ずつ得をする・・・・。

「ハァ〜」

残念と言わざるを得ない結果となってしまいました。
しかし、ルールを作るのはソフトバンクモバイルです。そのソフトバンクモバイルにここまで徹
底的にやられてしまったのでは、どうにもなりません。

「いやまてよ、番号ポータビリティー制度があったじゃないか」

そうです、単なる偶然ではありません。ボーダフォンがこの時期にソフトバンクモバイルに変わ
ったのは、番号ポータビリティー制度があったから。

さっそく、他の携帯電話会社と料金比較をしてみましょう。

比較するのはau。ボーダフォンで家族割ができなかったため、「MY割」という制度がとても気になっていました。

スーパーボーナス(新型)

バリューパック 3,900円
(無料通話2000円分)
MY割り

プランSS 3600円
(無料通話1000円分)
1年目
29,150円
27,432円 (割引率36.5%)
2年目
47,780円
26,784円 (割引率38.0%)
3年目
46,376円
26,136円 (割引率39.5%)
4年目
45,440円
25,488円 (割引率41.0%)
5年目
44,036円
24,840円 (割引率42.5%)
6年目
42,632円
24,192円 (割引率44.0%)
7年目
41,228円
23,544円 (割引率45.5%)
8年目
39,824円
22,896円 (割引率47.0%)
9年目
38,420円
22,464円 (割引率48.0%)
10年目
37,016円
22,032円 (割引率49.0%)
11年目以降
35,612円
21,600円 (割引率50.0%)

う〜ん、「MY割」がここまですごいとは思ってもいませんでした。

auはソフトバンクモバイルのように、先頭の192文字分のメール受信が無料ではないけれ
ど、これだけの価格差があれば、少しばかりメールを受信してもauの方が断然安いでしょう。

ということは、番号ポータビリティー制度って、もしかして私のための制度って事?。

ソフトバンクモバイルの1兆5千億円の負債を返済して行くのは、実質ソフトバンクモバイルユ
ーザーです。となれば、負債の返済が終わるまで、ソフトバンクモバイルからauに一時避難
し、負債の返済が終わって、思い切った料金設定が出来るようになった頃、またソフトバンク
モバイルに戻って来るのも1つの手。

ソフトバンクモバイルユーザーの皆さん申しわけありません。
1兆5千億円の負債の返済が終わるまで、私は一時auに避難します。
私が担当するはずだった10万円の負債は、皆さんでお分けください。
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