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2008年8月2日 イモリの食べ物
見てください、ずいぶん立派に育ったでしょ。

まだ、後足が十分発達していないので、恐竜のようにのっそのっそと歩く事は出来ませんが、お腹を引きずりながらも、4本の足を上手に使って歩けるようになりました。

育ち盛りと言う事で、食べ物の確保が本当に大変。とりあえず、金魚のエサは諦めて、底生のミジンコを与え、足りない分はブラインシュリンプを沸かして与えています。

沸かすのが面倒なブラインシュリンプに変わる食べ物として、養殖を始めた浮遊性のミジンコの方はと言いますと、順調に増えています。

増えてますってったって、そこは繁殖力旺盛なミジンコの事、小さなビンで数匹から始めた飼育も、30cmの水槽を経て、今では50リットルの衣装ケースにワッサワサ。

まるでイワシやアジの群れの如く、丸い団子になって、ピョコピョコと楽しそうに泳いでいます。

しかし、不思議なもんですね。あんな単純そうなミジンコが、仲間と一緒に群れを成して泳ぐなんて高度な事が出来るんですから。

水の流れや光の加減を感じて、自分が生存するのに最も適した場所を選んだ結果、自然とみんなが同じ場所に集まって、群れが出来るだけなんでしょうか。それとも、何かお互いを認識させるような事をして群れを成し、天敵から身を守っているのでしょうか。

ミジンコの判断基準なんて単純明快でしょうから、いろいろ実験して、そのシステムを解き明かしたくなりますね。

群れを成してくれているおかげで捕獲は簡単。

ブラインシュリンプ用に売られているネットを使って、ひとすくい。まさに一網打尽です。

ブラインシュリンプみたいですけど、全部ミジンコなんですよ。

さあ、お待ちかね、お腹をすかせたイモリの幼生たちの食事の時間です。

ザワザワザワザワ・・・・

淡水ではすぐに死んでしまうブラインシュリンプと違って、ミジンコはずっと生きていますので、少し多めに与えたのですが・・・・ちょっと多すぎたか(^_^;)

一瞬にして、ミジンコで水が濁ってしまったかのよう。

しかし、水槽全体がミジンコで濁っていたように見えたのは、ほんの一瞬でした。
水槽に入れられたミジンコたちは、驚くほどの速さで光源に近い水面へと上がっていきます。

イモリの幼生がミジンコを捕食する瞬間をデジカメで狙っていたのですが・・・・

あれよあれよと言う間に、ミジンコたちが水面へと上がって行ってしまう姿を、ただ呆然と見送るだけのイモリの幼生の写真しか撮れませんでした(^_^;)

しばらくすると、イモリが住む水底には、1匹のミジンコもいなくなってしまいました。

逆に、水面はミジンコの群れで埋め尽くされてしまいました。

ある程度予想していた出来事ですが、ここまではっきりと生息域が分かれてしまうとは、さすがに想定外。

「少しぐらいは水底で戯れるミジンコがいると思ったんだけど・・・・」

考えが甘かったと言わざるを得ません。

「う〜ん、どうしよう、水の量を減らそうか。」

水深を今の半分くらいにすれば、ミジンコが水底まで降りてくる確率がかなり高くなります。
とはいうものの、イモリの幼生たちに加え、大量のミジンコたちも同居する事になったこの水槽では、水量を減らすと、糞などによる急激な水質の悪化を招きかねません。

水質の悪化でミジンコが死に、ミジンコの死体がさなる水質の悪化を招きでもしたら、イモリの幼生たちが危険です。水質の安定こそ最優先。水深を浅くする案は却下です。

「暗くすれば、水底に降りて来るのかなぁ」

光に集まるのですから、暗くすれば水底に降りて来てくれるかもしれません。でも、イモリの幼生は、暗闇でミジンコを捕まえる事が出来るのでしょうか。動くものに興味を持って追いかけて行く習性があるのですから、どう考えたって暗くて何も見えない状態では、ミジンコを捕まえる事なんて出来そうにありません。

「薄暗い状態なら、ミジンコも水底に集まり、イモリの幼生も捕食できるかも・・・」

さっそく実験です。

水槽の上の照明を消して・・・・とりあえず光源は懐中電灯でも使うか。
懐中電灯を持って水槽の前に来たその時、新しい妙案がひらめいた。

「照明を下から当てればいいんだ!」

そう、照明を上から当てるからミジンコは上に行く。だから、照明を下から当てればミジンコは下に集まって来るはず。

水槽の上に吊ってあった照明をはずして床に置き、水槽の後の低い位置から光を当ててみる。

するとどうでしょう、今まで水面で泳いでいたミジンコが、まるで急降下爆撃機の編隊のように、一斉に身を翻して水底へと潜って行くではありませんか。

「ミジンコって、結構すごい生き物なんだなぁ」

ものの5秒と経たないうちに、水面のミジンコたちは、全て水底に近い光源に集まってしまいました。一糸乱れぬその集団行動と、泳ぐスピードの早さにしばし唖然。

上の照明が消え、いきなり横から強い光に照らされたと思ったら、周りはミジンコだらけ。

「ひえ〜」

イモリの幼生たちも、一瞬、何が起こったのか理解できなかったでしょうね(笑)。

しかし、すぐにあたり一面食べ物だらけと言う事に気が付いたのか、あっちでパク、こっちでパクと、イモリたちの食事が始まりました。とは言うものの、口をあけているだけで、食べ物が勝手に飛び込んで来るような状態ですので、イモリの幼生たちは、ちょっと戸惑い気味。

底生のミジンコやブラインシュリンプに比べると、浮遊性のミジンコはかなり大きいので、とても食べ応えがあるようです。

「パク、モグモグモグモグ。パク、モグモグモグモグ」

どのイモリの幼生たちも、食べたあと、小刻みにあごを動かして、一生懸命ミジンコを噛み砕いています。

「モグモグモグ。この噛み応えがたまらんなぁ」

丸呑み出来ちゃうブラインシュリンプと違い、「食べている」って感じが良く出ていて、食事がとっても楽しそう。

いや〜、これでやっとブラインシュリンプを沸かす作業から開放されそうです。とはいうものの、ミジンコの養殖というのも、それはそれで、かなり手間のかかるものではありますが(^_^;)

まあ、ミジンコは1日1回の水換えと、1日2回の給餌で勝手に増えてくれますので、塩水を使い、後片付けが面倒なブラインシュリンプよりはすっと楽が出来ます。それにミジンコは、ブラインシュリンプのように幼生水槽ですぐに死んでしまう事がないので、毎日のように行っていた幼生水槽の掃除も、1週間に1度程度くらいで済みそうですしね。


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