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食べカスの色



たくさんのオオクワガタを育てていると、
統計的にではないが、感覚的に得られる法則のようなものがある。

「・・・ような気がする」といった、あいまいな感覚。

そんな中のひとつに、食べカス(糞)の色と幼虫の大きさの関係がある。

食べカスの色が明るい茶色だと大きく育っている。
逆に、黒い色だとほとんど成長していない。
・・・ような気がする。

そこで、食べカスが黒く変色する過程を調べ、
食べカスの色と、幼虫の成長の因果関係を調査してみることにしました。



ともに、同じ菌床ブロックから同じ日に作った菌糸ビンで、同じ日に幼虫を投入しました。

温度管理など保存環境もまったく同じでしたが、幼虫を投入してから2ヶ月でこれほどの色の違いが出ました。

なぜこんなに色が違うのでしょう?。

一番に考えられるのは、時間の経過による劣化。

黒いほうの菌糸ビンは投入後すぐに食べ始めたため変色がかなり進んでいる。
逆に茶色いビンのほうは最近になって食べられたためあまり変色が進んでいない。

そう考えるのが妥当でしょう。

そこで、茶色いビンから食べカス(幼虫の糞)を取り出し、時間による色の変化を調べてみる
ことにしました。

いつもはすぐに捨ててしまうカスですが、色分けしてじっくり比べてみると、その違いは色だけではありませんでした。

茶色いカスはサラサラとしてきめの細かい砂のようです。それに比べて黒いカスはねっとりとした泥のよう。

明らかに水分量が違うようです。

フタの閉め具合によるビンの密閉の違いが、カスの色に影響を与えたのでしょうか。

最初は茶色いカスも、ビン内の水分が多いと砂の様な粒子がさらに分解され泥の様になる。

そういう仮説も立てられます。
ということで実験です。

変色前の茶色いカスを200ccのプリンカップに小分けして入れました。

そして一番左のカスには20ccの水を、真ん中のカスには10ccの水を入れて変色実験の開始です。

さらに、菌糸ビン内の酸素濃度の違いによる変色の進行も調査してみようと、完全密閉でき
る容器も3個用意し、同じように加水して実験にくわえました。

1ヵ月後。

予想では密閉されて酸素が不足した容器のうち、水分量が一番多いカスが最も黒く変色する
と思ったのですが・・・・。

結果はご覧の通り。

下から順に水分を多く含んだ容器です。
そして左が密閉された容器。

多少変色が進んでいるといった感じですが、酸素濃度や水分量による違いはまったく見られません。

写真では密閉された容器のほうが多少黒ずんでおりますが、容器の違いによるものでカス自体の色はほとんど違いがありませんでした。

残念ながら酸素量や水分量は変色には無関係のようです。

次に考えたのが「雑菌による腐敗」という仮説。

菌糸ビンを詰める段階、または幼虫を投入する時などに雑菌が混入し、その雑菌が幼虫の
糞を腐敗させ変色させる。茶色く変色しない菌糸ビンにはその雑菌の混入がなく、黒く変色し
てしまった菌糸ビンには運悪くその雑菌が混入してしまったという仮説です。

実験開始です。

変色していない茶色いカスを、黒く変色してしまったカスで挟んでみました。

もし、雑菌などによる腐敗が変色の原因なら、茶色いカスと黒いカスの境界部分から少しずつ変色が進行していくと思われます。

マウスのポインタを写真の上に合わせると、1か月後の画像が現れます(クリックはしないでください)。

1ヶ月後の画像はフラッシュの加減でうまく色合いが出ていませんが、茶色いカスは境界部分からではなく、全体的に多少黒ずんだといった感じで、黒い部分の雑菌が侵食しているようではありませんでした。

残念ながらこの実験も失敗です。

その後温度を変え、水分量を変え、詰める硬さを変え・・・・・。実験を繰り返しましたが、結局
真っ黒に変色させることは出来ませんでした。

もともと、酸素量や水分量や雑菌等の外的要因が菌床を劣化させ、それが原因で幼虫の成
長が阻害されるのではないかと疑っていました。

そして、その外的要因を除去する事により、幼虫の成長を促進できるのではないかと始めた
実験ですが、残念ながら主要な外的要因が原因にはなっていない事が分かっただけの結果
となってしまいました。

しかし、幼虫の成長促進に直接寄与しないとしても、黒く変色する理由を解明したいという気
持ちは変わりませんでした。

「カス。すなわち幼虫の糞は黒く変色させる事は出来ない」

そう思った時、1つの仮説が頭に浮かびました。
あの黒く変色したカスは幼虫の糞ではないという仮説。
実験の目的を根底から覆す仮説ですが、とりあえず実験してみる事に。

2ヶ月以上経過した菌糸ビンを交換する時に、まだ食べていない菌床のみを取り分けて、それを揉みほぐしてふるいにかけ、鮮やかな色の茶色い菌床を取り出しました。

今までのカスは「幼虫の糞」ですが、これは幼虫が食べていない「菌床」です。

これをビンに詰めて放置してみました。
果たして黒く変色するのでしょうか。

菌糸ビンに詰め替えてから2ヵ月以上たっていますが、もとはれっきとした菌床ですので、菌
糸が再生し、またもとのような白い菌糸ビンが出来るのではないかと思っておりました。

左の写真は菌床を詰め直した時の状態です。
多少ゆるめに詰めています。

そしてマウスのポインタを左の写真に合わせると、1か月後の写真が現れます(クリックはしないでください)。

白く再生するだろうと思っていた菌糸ビンが、どんどん黒く変色していく様子は驚きでした。
そして、塊の状態では長い間鮮やかな茶色を維持していたのに、ほぐしたとたん、黒く変色が進行してしまう事にも驚かされました。

さらに1ヶ月が経過する頃には茶色い部分はまったくなくなり、真っ黒な菌糸ビンになっていました。

ということで、黒く変色したカスは「幼虫の糞」ではなく、菌床そのものだという事が分かりまし
た。すなわち、幼虫が食べずに掘り進んだ時に出来た菌床の細かいクズです。

幼虫は掘り進むときに菌床を削りながら進みますので、削られた菌床は細かなクズとなりま
す。それが変色したものが黒いカスだったというわけです。

糞の場合、幼虫の体内である程度水分が吸収されるので乾いた感じがしたのでしょう、逆に
菌床カスは回りに菌糸がついているため、菌糸がある程度保湿していたと考えられます。

糞はその栄養のほとんどを幼虫に取られているため雑菌による腐敗が進まず、逆に菌糸カ
スは弱った菌糸が雑菌の格好の栄養分になり、腐敗がの進行が早まり、短期間に黒く変色し
たのだと考えられます。

茶色いのは幼虫の糞が多い証拠、菌床をたくさん食べている事が窺い知れます。
逆に黒いのは菌床を食べずに掘り進んだだけ。
茶色い菌糸ビンからは大きな幼虫が出てきて、黒く変色した菌糸ビンからは大きな幼虫が出
てこない理由も解明できました。

黒く変色する原因を突き止め、その原因を除去することで幼虫の成長を助けようという今回
の実験は失敗といわざるを得ませんが、とりあえず変色する理由だけでも分かりましたので、
記載しておくことにいたしました。
というより、この実験に懸けた時間と労力を考えると記録せずにいられませんでした(^_^;)

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