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メスに蛹を与える
「産卵前のメスにカブトムシの蛹を与えると産卵数が増える」
巷でささやかれている噂。果たしてその噂は本当なのか。
もし嘘なら、1つの生命を無駄にするような蛮行はすぐに中止すべき事。
もし本当なら、「産卵数UP」を謳っているゼリーの栄養価に疑問を投げかける事になる。
カブトムシの蛹の命を救う事になるか、ゼリー業者のいっそうの奮起を即す事になるか。
どちらにしろやってみる価値はありそうです。
まず今回の実験に参加させた個体の紹介です。
メスは今回が初産となる41oから43oの同腹姉妹4頭。
オスはメスとは別血統の同腹兄弟。4頭とも70o弱。
この4ペアを蛹を食べさせた2ペアと、蛹を食べさせていない2ペアに分けて産卵数を調べます。
今回食べさせた蛹はカブトムシの蛹ではなく、ミルワームの蛹です。
もちろんこのミルワームの蛹は市販の蛹ではありません。私が幼虫から肥育した栄養価の高いミルワームの蛹です。
菌糸ビンの添加剤として使用していたプロテインや粉ミルク、麦芽、ビール酵母、カニ殻粉末などを主食に、フルーツ、野菜などを大量に与えて肥育したミルワームが蛹化したもので、その辺の腐った葉っぱばかり食べて育ったカブトムシの蛹に比べ、栄養価は十分高いと思われます。
画像にポインタを合わせてみよう。クリックしちゃダメだよ
産卵セットは大型のケースを使用し、高橋農園さんの産卵木「太」を3本、「中」を3本、それぞれ縦にセットしマットで埋めました。
硬さは柔軟材と超柔軟材を使用しております。
これは今までの経験から、ウチのオオクワのメスは柔らかめの産卵木を好むことが分かって来たためです。
蛹を食べさせる個体にはペアリング1週間前から蛹を与え始め、その後、1週間のペアリング中も蛹を与え続けました。その間に食べた蛹は10頭近く。もちろん市販のゼリーも同時に与えていたため、市販のゼリーに蛹の栄養がプラスされた形になっております。
蛹を与えない方は、産卵頭数UPを謳っているメジャーなゼリー3種類を同時に与えました。
かなり贅沢な与え方ですが、栄養の偏りも無く万全の体制で産卵に望めたと思われます。
そして1ヶ月間産卵セットにいれたあと、産卵セットから取り出し、さらに1か月の期間を経て割り出しを行いました。そして結果は下の表のようになりました。
蛹をたっぷり食べさせたメスの産卵数
市販のゼリーだけを食べさせたメスの産卵数
34頭と43頭 合計77頭
32頭と28頭 合計60頭
噂でささやかれている程の目覚しい効果は得られませんでしたが、多少の効果はあるようです。しかし、蛹の体液がしみこみ、強烈な腐敗臭を放つ飼育ケースの事を考えると、とてもお勧めできるような飼育方法ではありません。また、ひとつの生命を犠牲する程の効果かどうかも疑問の残るところです。
結果は数値として出ましたので、あとは皆さんなりにこの数値を解釈し、ご自分の倫理に照らし合わせて飼育方法に反映させていただけると嬉しいです。
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