<ルアー ROGOS(ロゴス) 編>
「じゃあ、3時30分にしましょう。早目に来なくてもいいですからね」
そう、シーバスボート 「福の神」さんと、翌日の出船についての最終打ち合わせを電話で行う
時、いつも決まって最後に「早目に来なくてもいいですからね」と言われます。
特に早目に行こうと心がけている訳ではないのですが、早朝と言うより深夜の出立のため、
音を立てて家族を起こしてしまってはいけないので、抜き足差し足忍び足と、動作の全てがス
ローモーションのようになりますし、寝ぼけて忘れ物などうっかりミスをしてしまう事を恐れて、
多少時間に余裕をもって行動していることは事実です。
食事をとって、顔を洗って、荷物を積んで出発するまでに45分・・・余裕をもって1時間。
家から船着場まで車で20分・・・余裕をもって30分。
ところが、楽しい楽しいボートシーバスですので事前の準備は万端。積む荷物を玄関に置い
ておくどころか、食事から衣服、洗顔道具まで完璧に準備し、起床から出立までのシミュレー
ションを頭の中で何度もこなしているアホぶり。
ですので、余裕の時間を使うどころか、予定よりもかなり前倒しになってしまい、まだ誰もいな
い船着場で、1人寂しくルアーを投げて船長さんの到着を待つのが恒例となっていました。
起床を少し遅らせればよいのですが、年に数回の事ですので、前回どれくらい時間がかかっ
たかなんて、覚えていないんですよね。ですから、毎回予定の時間を立てて、毎回それに余
裕の時間を足して、そして毎回船着場で長時間待っているというなんとも情けない状態。
しかし今回は違います。前回の釣行から、まだ1ヶ月もたっておりません。
しかもその時の起床時間と、待ち時間をきちんと把握しております。
「前回は1時間30分前の起床。今回は1時間15分前の起床にするか」
前回、吹き荒ぶ風の中、船着場でブルブル震えながら30分待っていた記憶がよみがえりま
す。余裕の時間を15分間短縮すれば、待ち時間は15分程度。これくらいの時間なら、余裕
を持った行動としての許容範囲でしょう。
翌日、予定通り起床から40分後に出立。この分だと船着場に予定より15分早く着いてしま
います。道は京浜島からお台場へ、埋立地と埋立地をつなぐトンネルですので、深夜には車
はほとんど走っておらず、渋滞にはまるどころか信号に引っかかる事さえ稀。
お台場から先も湾岸の工業地帯のような所をひたすら走るだけで、多少信号は多くなります
が、車はまばら。ちょっとアクセルを踏んでしまうと予定の20分どころか15分程度で到着して
しまいます。となると、予定の時刻より20分前の到着。
「ちょっと早すぎるよなぁ」
時間を調節するため、法定速度遵守の安全運転。
前後にまったく車が走っていない片側2車線のどこまでもまっすぐ伸びる海底トンネル。
それを法定速度の時速50kmで走る。それが本来あるべき姿なのでしょうけど、廃品回収中
のトラックのようなトロトロ運転をしているようで、さすがにストレスが溜まります(^_^;)
船着場の近くの駐車場に到着したのは出船予定の10分前。
荷物を下ろして船着場に行けば、5分前の到着。まさに「JUST IN TIME」。
車から降りて荷降ろし作業に取り掛かろうとすると、いきなり「福の神」さんから電話。
「出船が遅れるのかな?」
ちょっと不安な気持ちで電話にでる。
「よしだっちさん今どこ?」
「いま、ちょうど駐車場に着いたところです」
「いや〜、いつもならもう来ている頃なのにいないから、ちょっと心配になっちゃって。出船の
準備はできてますんで、お早目に〜」
って、おいおい(^_^;)
「いつも電話で『早目に来なくていいですよ』って言われるからぁ〜」
と、猛抗議をしつつ、3:30定刻通り出船です。
前々日の釣果はかなり良かったものの、前日は半減。今日はあまり期待できないとの話もあ
り、なんかいやな予感。
空は多少明るくなりつつあるも、まだ薄暗く、どちらかというとナイトゲームの様相。
大潮の満潮からの下げと言う事もあり、かなり期待していたのですが、まったくと言って良い
程シーバスの反応がありません。
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なんとかナイトレイドにて1本。
バラシが1回あったものの、なんともぱっとしない状況。前回の1日中走り回って釣果5匹という悪夢が頭によみがえります。 |
辺りがすっかり明るくなった5時過ぎに、今回の釣行の運命を決める大きな出来事が。
「あそこにシーバスがいる!。あのシュシュッとした水鳥の動きの下にはシーバスがいる」
船長のタムラさんが、水面で小魚を追っている水鳥の動きの異変に気が付いた。とは言うも
のの、そこはただの海面。ストラクチャーもなければ目印もない。ただ数羽の水鳥たちが優雅
に泳いでいるだけ。
タムラさんが操船を中断してその海面に向かってキャスト。
ストラクチャーをタイトに攻めるのが「福の神」さんのスタイル。他のシーバスボートのように、
大海原で鳥山や魚群探知機に映ったシーバスの群れに向かってルアーをキャストした事なん
て一度もありませんでした。
私もストラクチャーに向かってピンポイントキャストすること自体を楽しみとしているので、たと
え釣果が絶大でも、大海原でシーバスの群れに向かってルアーを投げるスタイルは苦手で
す。
しかし、船長さんが船を止め、「あそこに投げて」と言えば、投げないわけにも行きません。
「福の神」さんと出会って8年目。かなり戸惑いながら、初めて目標のない海面に向かってキャ
スト。
するとタムラさんの言ったとおり、海面下に沢山のシーバスがステイしているようで、次から次
へとルアーを食ってきます。投げれば食う、投げれば食う、ばらしたルアーに別のシーバスが
追い食い。写真を撮っている暇もありません。まさにお祭り状態。
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サイズは小さいものでも50cm以上、たまに70cm近いシーバスもかかったりして、ファイト自体を楽しみにしている人には最高の状態。 |
巨大なシーバスの群れがズドンと存在しているわけではなく、小さなシーバスの群れが広い範
囲に点在しているらしく、船でゆっくり移動しながらあちこち探っていくと、4投、6投連続HITな
んてのがあったと思ったら、10分ぐらいパタッとアタリがやんでしまうといった感じで、飽きず
にそれなりに楽しめます。
タムラさんは、船首からストラクチャーが狙え、そして舷側からは沖のシーバスの群れが狙え
るように操船してくれていましたので、ストラクチャーを攻める事もできます。
「70UPはストラクチャーについている」と息巻いて、ストラクチャーをタイトに攻めるのですが、
シーバスは沖の小魚を追いかけているらしく、ストラクチャーはお留守のよう。沖では連続HIT
のお祭り騒ぎとなれば、いくらストラクチャーフェチの私でも、心が折れて宗旨替え(笑)。
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何もない沖に向かってルアーをキャストすること1時間。かなりの釣果となりました。
しかし、早朝からこんなに沢山の良型シーバスと格闘したのでは、腕が疲れて、この先のキャストの精度が心配です(^_^;)
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さて、日差しが強くなる頃にはお祭り騒ぎは終了。「福の神」さんの本来のスタイルであるスト
ラクチャーゲームの再開です。日陰を狙うメソッドをメインにゲームが組み立てられます。
お祭り騒ぎとは打って代わり、ピンポイントキャストでストラクチャーから1匹のシーバスを引き
ずり出すじりじりとしたゲームが続きます。
じりじり・・・・じりじり・・・・シーバスがいない(^_^;)
どんなルアーを投げてもシーバスが釣れてしまうと言うのも考え物ですが、どんなルアーを投
げてもシーバスの反応がまったくないというのもかなり辛い(^_^;)
度重なる移動で、やっとシーバスが付いているストラクチャー群を発見。どのストラクチャーに
もシーバスが付いているといった感じではなく、付いているストラクチャーからは次から次へと
シーバスが沸いてくる反面、付いていないストラクチャーでは何の反応も見られないといった
両極端な状況。
シーバスが付いているストラクチャーでも、ルアーは追ってくるものの、口を使ってくれないシ
ーバスがかなり多い。晴天で海水の濁りも薄いため、追ってくるシーバスや反転するシーバス
の様子が手に取るように分かります。
「食べてぇ〜」と、ルアーの後方30cmにピタリと付いたシーバスにお願いしてみたり、「そこま
できたら食えよ〜」と、突然現れルアーを食う直前に反転して行ったシーバスに怒鳴ってみた
り。
見切られているのは日差しが強いのもひとつの原因ですが、ルアーが合っていない可能性も
あります。使っていたルアーは最近、はまっているタイトスラローム。
「もう少し深いレンジか?」
雲ひとつなく、ほぼ真上から照りつける太陽。そして濁りの薄い海水と、波のない穏やかな海
面を見れば誰でもそう考えたでしょう。
ルアーを「スレッジ 7」にチェンジしてタイトスラロームより深いレンジを探る。しかし状況は悪
化しただけ、追ってくるシーバスの姿さえ見えなくなってしまいました。
今度は「ima Ligid 70」で更なる深みを探ります。しかし状況は好転しませんでした。
仕方がないので今一番頼れるタイトスラロームにルアーを戻し、見切られながらも、やる気の
あるシーバスを拾っていきます。そしてそれなりに釣果を上げていくと、あるひとつのパターン
が見えてきました。
「抜き上げ前のバイトが多いような・・・」
ルアーが上向きに転じてかなり浅い水深まで上がって来た時にバイトしている事が多いようで
す。レンジは50cmくらい。ルアーが見え見えの水深です。
「浅いレンジのルアーを試してみるか・・・」
カンカン照りの中、浅いレンジのルアーを使うなんて、常識では考えられません。
しかし、こう見切られてばかりだと、どんなに可能性が低い事でも試してみたくもなるもんで
す。
「ナイトレイド97F」
「青天の霹靂」と書いて「せいてんのナイトレイド」と読んでも良いくらい、ばかげたルアー選択
です。ナイトレイドを投げているなんて知れたら恥ずかしいので、誰も見ていないのを確認して
こっそりキャスト(笑)。
「このレンジじゃない」
タイトスラロームを抜き上げ前に食ってきているレンジはもう少し下。
このレンジではありません。
「レンジキーパー 95F」
いい感じなんだけど、もうチョイ下。
「サラナ 95F」
こいつでもない。
目の前のタイトスラロームにバイトして来た時の状況はあまりに強烈で、脳裏にしっかり焼き
ついています。あの瞬間のレンジを泳ぐルアー・・・・。ナイトゲームではメインのルアーは表層
系。しかも表層での駆け引きは、数cmの違いでも釣果が大きく分かれるほどシビアなゲーム
ですので、数cm刻みで泳ぐレンジを変えられるほど手持ちのルアーは豊富です。
「もう少し深いやつは・・・・」
太陽が昇ってからは、バッグの奥に仕舞い込んでしまった表層系のルアーが沢山詰まったケ
ースを引っ張り出し、あと10cmくらい深いレンジを泳ぐルアーを探す。
「こいつだな」
「Jackson ROGOS(ロゴス) 80」
ほとんどと言うより、まったくと言って良いほど使った事のないルアーです。レンジを刻むため
に、とりあえず買った程度のルアー。実際のナイトゲームでは表層にも使えず中層にも使え
ず、中途半端な仕上がりになっています。
「ROGOS(ロゴス)」をキャストしてリトリーブ。
「ああ、いいとこ泳いでる」
「ROGOS(ロゴス)」は脳裏に焼きついたあのHITレンジをしっかりとトレースしています。しか
し、その泳ぎはなんとも間抜け。くねくねと必要以上に腰を振って、それはまさに一昔前に流
行ったド派手なアクションを彷彿させます。デッドスローでの微妙な揺れを演出してシーバスを
誘うのが主流となった今日では、なかなかお目にかかれない泳ぎです。
タイトスラロームで釣果を重ねているうちに、今日は「スローだけど、しっかり泳がないと食って
こない」というパターンであると確信していましたので、かなりの低速まで腰をくねらせたオー
バーアクションをしてくれるROGOS(ロゴス)は、意外にも良いアピールをしてくれるかもしれ
ません。
絶妙に合ったレンジと、かなりの低速まで派手なアクションをしてくれる事に期待して、しばらく
「ROGOS(ロゴス)」に賭けて見る事に・・・・と、思ったのも束の間、「ROGOS(ロゴス)」は2
投目にして、しっかり結果を出してしまいました。
ゴン!。
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それは今までとはまったく違ったバイトでした。
抜き上げ前でも着水後でもなく、泳ぐレンジが安定したリトリーブ中盤でのバイト。
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「タイトスラローム」では抜き上げ前に集中していたバイトが、「ROGOS(ロゴス)」に変えたと
たん、リトリーブコース全域にわたって均等にバイトして来るようになりました。
HITカラーは「SGG」。光沢のある緑を基調としたカラーです。レッドヘッドも持っていたのです
が、同じルアーなのに、不思議とこちらはさっぱり。あまりにも多用されている基本カラーのレ
ッドヘッドは、シーバスにとってもはや「警戒色」になってしまっていたりして。
それでもナイトゲームで一番頼りにしているカラーは、誰がなんと言おうがレッドヘッド。
そしてデーゲームでは、10年にも満たないキャリアですが、数年前から「緑」が頼りになるの
ではないかと思うようになっています。タイトスラロームも緑を基調とした「CTOH」が好調です
しね。逆に、昼間はレッドヘッドはあまり良くないみたい。リアルカラーも最近はたんすの肥や
しになっています。
だから最近、新製品のルアーを買う時は、ナイトゲーム用のレッドヘッドと、デーゲーム用の
「緑」。この2つをセットで買うようにしています。「緑」はお腹に「ピンク」のストライプが入っちゃ
ったりしていると、最強のコントラストでシーバスにばっちりアピールしてくれる様で好き。
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その後もロゴスにて、着々と釣果を重ねる事ができましたが、時ちょっと遅しといった感じ。
タイトスラロームでバンバン見切られていたあの時にロゴスを投入できていれば、まったく違った印象の釣行になっていた事でしょう。
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カンカン照りのデーゲームでも表層系が最強ルアーになると言う事に驚き、そしてレンジの重
要性を再認識させらた1日でした。
中層の「タイトスラローム」、表層の「ROGOS(ロゴス)」。デーゲームで柱となるルアーがだん
だんそろってきました。とは言うものの「ROGOS(ロゴス)」は、売っているお店が少なく、手に
入れるのが難しい状態。
廃盤になる前にまとめ買いしておこうと近所のショップを回りましたが、見付ける事はできませ
んでした。ネットでも取り扱っているショップは少ないようです →
。
Jacksonのホームページでとりあえず購入できるけど定価じゃねぇ。
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