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ガルルルル・・・・
「おい、お前、いったい何をやっているんだ!」
こんな光景は初めて見ました。
昨日産卵した我が家で一番大きなカナヘビの横っ腹に、2番目に大きなカナヘビが噛り付いています。
ウチのカナヘビは獲物に噛り付く前には、必ず目と舌で相手を確認します。
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獲物であるコオロギでさえ、丸呑みできる大きさでないと襲い掛かろうとしません。
なのに仲間に噛み付くなんて。
一番最初、カナヘビたちが我が家に送られてきた時、仲間に噛み付くのを見た事があります。よっぽどおなかがすいていたのでしょう、動いた仲間の尻尾にすばやく反応し、いきなり噛み付きました。
しかし、噛み付かれた相手が驚いてすごいスピードで逃げ出すと、噛み付いたほうもびっくりして瞬時に離してしまいました。その後、周りにウジャウジャいるコオロギに標的を変え、一通りおなかが落ち着いてからは仲間に噛み付くのを見たことがありませんでした。
なのに、このカナヘビは仲間に噛み付いています。
間違って噛み付いてしまったのでしょうか?
もしそうならすぐに離すはずです。しかしこのカナヘビはずっと噛み付いたまま。
食べようとしているのでしょうか?。
それも違うでしょう。2周り以上も大きな相手です。どう考えたって食べられませんし、周りには食べごろのコオロギがわんさといます。
生まれたての子カナヘビでさえ安心して一緒に暮らしていたというのに・・・・。
しかし、ひとつの知識がこの奇怪な行動の答えになるかもしれません。
それは「交尾」。
カナヘビは交尾をする時、オスがメスに噛み付くそうです。
大きなカナヘビはメス。昨日産卵したばかりのメスです。
このメスは2周り以上小さな相手に噛み付かれているのに、反撃どころか逃げようともせず、涼しい顔をしています。
この状況から察するに、交尾である可能性がかなり高いです。確認してみましょう。
角度をずらして観察してみると、確かに交尾をしていました。
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オスはメスの横っ腹に噛み付き、体を絡めるようにしてメスが動かないように固定し交尾をしています。
その顔は鬼気迫るものがあります。
たとえ敵に襲われようとも、子孫を残すこのチャンスを逃してなるものかと、まさに命がけの形相です。
メスはというと、ちょっと迷惑げ。
子孫を残すためだからしょうがないといわんばかりの顔つきです。
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10分ほどじっとしていましたが、やがてメスが動き出しました。
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「そろそろ終わりにしてよ」
そんな感じで、メスはオスを引きずりながらゆっくりと動きますが、オスはまったく離れようとしません。
さらに10分が経過すると、アゴが疲れたのでしょうか、オスがちょっと噛むのを緩めた瞬間に、シュルシュルとメスが動き、それを合図にするように交尾は終了しました。
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あんなに長い間強く噛み付かれていたので、メスのおなかの状態が心配になりましたが、
傷どころか歯形さえも残っていませんでした。
産卵が終わった翌日には即交尾。そしてまた産卵へ・・・・カナヘビの夏は忙しそうですね。
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