まずは、味の素の成分から。味の素の成分表を見ると分かりますが、その97.5%は「L−グ
ルタミン酸ナトリウム」です。そして残りの2.5%が「5’−リボヌクレオタイドナトリウム」と呼ば
れているもので、その中にイノシン酸やグアニル酸が含まれています。
ですから、味の素の成分は
1:昆布に多く含まれるグルタミン酸。
2:鰹節に多く含まれるイノシン酸
3:シイタケに多く含まれるグアニル酸。
となります。味の素の97.5%はグルタミン酸ですから「味の素=グルタミン酸」と言うのも頷
けます。しかし、もしクワガタのメスが興味を持つと言うなら「昆布のグルタミン酸」ではなく「シ
イタケのグアニル酸」ではないか?。
「誰しもが持ちそうな疑問と、誰しもが確かめようとしない疑問」
と、言うことで実験開始です。まずは用意した薬品から。
上の三つの薬品を「味の素」の成分表示と同じ濃度になるように水で溶かし、ティッシュペー
パーにしみこませて16gのゼリー容器に入れました。その他に比較用として「食塩水」「水」
「味の素」をしみこませたティッシュペーパーも作りました。
ティッシュペーパーにしみこませた量はそれぞれ2mlずつ。濃度は以下の通りです。
味の素
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4%
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グアニル酸ナトリウム
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0.05%
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イノシン酸ナトリウム
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0.05%
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グルタミン酸ナトリウム
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3.9%
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塩化ナトリウム (食塩)
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2%
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そして、その六つのゼリー容器をケースの中に設置し、交尾の終了したメスのクワガタを入れました。
ちなみに、セットしたケースは三つ。
使用したオオクワガタは
1:川西市黒川産F2
2:山梨県韮崎市産F2
3:山梨県双葉町産F1
となっております。 |
この状態で10日間。蒸発した水分は補給せず放置しました。
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10日後の状態です。
この写真は「川西市黒川産F2」のものです。
ほかのケースも、まったく手をつけなかったティッシュや、引っ張り出してぐちゃぐちゃにしてしまったティッシュなど、よく特徴が出ていました。 |
上の写真が実験結果です。
横の列を示す数字は
「1:川西市黒川産F2」 「2:山梨県韮崎市産F2」 「3:山梨県双葉町産F1」
の個体識別です。
グルタミン酸
(昆布など)
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イノシン酸
(鰹節など)
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グアニル酸
(シイタケなど)
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やはり、産卵を控えたメスは昆布の成分のグルタミン酸ではなく、しいたけの成分であるグア
ニル酸に興味を持つことがはっきりしました。
グアニル酸は「核酸」に分類され、市販品では「味の素」よりも「ハイミー」や「いの一番」等に
多く含まれているようです。
今回の実験は私の探究心を高揚させるものであり、「ドルクスデザイン」と言う極みのHPには
うってつけの材料であり、結果は大変満足するものでした。
実験を実施され、結果をご提供いただいたSPFさんには感謝の気持ちで一杯です。
追記
SPFさんから試薬を頂き、私も実験をしてみました。
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実験方法はSPFさんとまったく同じです。
試薬ごとに定められた水溶液を作り、それを2mlずつティッシュにしみこませたものを16gのゼリー容器に入れました。 |
それぞれ4つの飼育ケース(大)にセットし、交尾を終えたメスのオオクワガタを単独で飼育ケースに入れ、10日間何もせずに暗い場所に放置いたしました。 |
こちらが私の実験結果です。
SPFさんの実験結果ほどではありませんでしたが、試薬ごとに明白な差が現れ、実験は成功
いたしました。
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