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2005年10月30日 高温飼育と低温飼育
だいぶ寒くなってきましたね。私の部屋も最低気温21℃を記録しました。

温室のサーモには、9月頃からすでに通電を開始しておりますので、気温が24℃を下回るようなら勝手にヒーターが作動し、まったく問題ないのですが、ワインセラーで管理している菌糸ビンは来週あたり温室に移動させないと、いくら庫内の保温効果が優れてると言っても、ちょっと厳しくなりそうです。

今年は大量の幼虫を割り出すことが出来ましたので、いろいろと環境を変えて育成しております。その中で最も重視しているのが温度。ワインセラーを用いた24℃の「低温飼育」と、
夏場高温になる室内でそのまま飼育する「高温飼育」ではどちらが優れているのか実験中です。

産卵セットを組んだのは6月12日。そして産卵が終了したのが7月10日。
ですから、ワインセラーに入れない幼虫たちは7月8月の猛暑を経験することになります。

「蛹化してしまうやつもいるだろうな」
夏場の室内で、まったく温度管理しなければ、発育の早い個体はきっと蛹化してしまう事でしょう。でも、この実験をしなければ幼虫飼育法のページはいつまでたっても工事中のまま。
多少の蛹化は覚悟の上での実験です。それもこれもたくさんの幼虫が取れたおかげで出来ること。

夏場、エアコンの温度は30℃に設定しました。それ以上はいくらなんでも幼虫にとって酷でしょう。今年の夏も暑い日が続きましたので、夏場の室温はほとんど30℃に張り付いたまま。
エアコンは30℃に設定したのですが、温室内は32℃になっていることもありました。

そんな暑い夏が過ぎ、秋も深まって来て、ワインセラー内の温度と、温室内の温度がほぼ同じになる季節がやってまいりました。これから先は両者同じ環境での飼育になるので、ここで一区切り付きます。さあ、どんな結果が出たのでしょうか、中間発表です。

いや〜、高温飼育では、メスを中心に1/3程度の幼虫が蛹化してしまうのではないかとの予想していたのですが、まったく見当違いでした。

50頭を超える幼虫のうち、蛹化した個体はなんとゼロ。しかも蛹化の予兆を感じさせる幼虫さえいない状態で、みんな活発に活動しています。

夏場の高温は早期蛹化の危険があると思っていましたが、よくよく考えると自然界に近い状態での飼育ですので、冬前に蛹化するなんて事はないようです。

ただ、自然の森林ではありえないような高温ではなく、エアコンで30℃以下制御したことも大きく寄与していると思われます。35℃なんて温度で飼育したら、秋口に蛹化してしまうこともあるかもしれません。

「夏場の高温のせいで冬前に蛹化してしまった」なんて話を良く耳にしますが、これは自然界ではありえないような本当の意味での高温飼育か、または産卵セットを組む時期が早すぎて冬前に幼虫が成長するのに十分な時間を与えてしまったからかもしれません。

そう考えると「6月中旬産卵開始。室温30度以下」という条件は、冬前に蛹化させないためのひとつの基準値となるはずです。さらに「5月下旬産卵開始」とか「室温32度以下」といった条件での飼育実験を重ねれば、夏場に一気に成長させ、冬前に蛹化させない最適の条件が見えてくるかもしれません。

さらに、夏場低温管理が出来ないようなら、その分、産卵時期を遅くするれば良いといった計算も成り立つかもしれません。

さて、ワインセラーを使用し24℃で管理した幼虫はどうなっているでしょう。

「温室より良い結果が出るはず」

そう思っての実験でしたが、思いもしない結果になってしまいました。

温室のほうはすでに一本目をほとんど食べ終わってしまい、2本目に移っている幼虫が増えている中、ワインセラーの幼虫たちはこの通り。ほとんどの幼虫がまだ一本目を食べ始めたばかり。中には食痕がほとんど現れていない幼虫さえ見受けられます。

今まで高温と低温で平行して飼育したことがなかったので気が付きませんでしたが、まさかこんなに成長に差が出てしまうとは!。

24℃という温度は日本に住む昆虫にとって、最も快適な温度と思っていただけにかなりショックです。

成長の遅いワインセラー内の幼虫にも、本日やっと1本目の菌糸ビンを食べ終えた幼虫が現れました。

17.6グラム。

こいつがワインセラー内では間違いなく最大の幼虫です。もう1頭同じくらいの大きさの幼虫がおりますが、この2頭だけが特別に大きく成長し、群を抜いている状態です。

裏を返せばワインセラー内の幼虫の発育はそれほど遅いということ。まだ10グラムに満たない幼虫さえ存在します。

それに引き換え温室内の幼虫は20グラム超えなんてざら。本日2本目のビンに移行した4頭の幼虫は、左の幼虫を筆頭に、22.2g、21.6g、18.9g。

さらにこの4頭より成長が早い幼虫がたくさんいることも事実です。

最初の頃、ワインセラー内の幼虫のほうがプリンカップの食いが悪いと心配していたのですが、最終的にここまで差が開いてしまうとは・・・・・。
と、言うことはワインセラーは必要なかったという事か?。
う〜ん、まだ途中経過ですのでなんともいえませんが、この結果がそのまま成虫に反映されるとしたら、ワインセラーは菌糸ビン作り以外、何の役にも立たなくなってしまう事でしょう。

しかし、まだあくまで途中経過です。
温室内の幼虫たちは、すでに幼虫でいられる時間に限界が来ているかもしれません。
そしてワインセラー内の幼虫たちはまだまだ十分余力を残しているかもしれません。

低温で飼育すれば幼虫でいられる期間が長くなる。
高温で飼育すれば短期間に大量のエサを食べさせられる。
幼虫でいられる期間と、エサを食べる量のバランスをいかにして取るか・・・・。
その辺がキーになってくる可能性が見えてきました。

1年を通して一定温度というのは、幼虫の加令システムを考慮するとあまり効率的ではない気がします。最初低温で飼育し、最後に高温で一気に追い込むのもナンセンス。
幼虫の成長段階を考えると、体重が一気に増える初期にあわせて高温を使用し、食いが止まる中盤以降は低温をあてがう「先行逃げ切り型」が一番適しているのかも。

低温と高温の二つに分けたグループですが、今後はさらに分岐させる予定です。

@:冷夏(24℃)→暖冬(24℃)→冷夏(24℃)   低温一定型
A:冷夏(24℃)→暖冬(24℃)→猛暑(30℃)   追い込み型
B:猛暑(30℃)→暖冬(24℃)→冷夏(24℃)   先行型
C:猛暑(30℃)→暖冬(24℃)→猛暑(30℃)   高温型

実験前は「@低温一定型」が最も優れていると思ったのですが、一度目の夏が過ぎた段階では「B先行型」が優れているのではないかと思うようになりました。ただ「B先行型」は春に蛹化してしまうという危険をはらんでいることも事実です。

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