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2005年9月3日 高濃度酸素の結果
今回は高濃度酸素の実験結果についてお伝えいたします。
ずいぶん長い間、話題に上がらなかったので不思議に思っていた方もおられたかもしれませんね。書く暇が無かった訳ではないんです。もちろん秘密にしていた訳でもありません(笑)。

実は、高濃度酸素飼育で30グラム目前まで成長した幼虫2頭の羽化をずっと待っていたんです。もちろんこの2頭は今まで飼育した中で一番大きく成長した期待の幼虫。羽化してくれれば間違いなく自己ベストとなるはずでした。

そう。なるはずだったんです・・・・。
しかし、羽化どころか蛹化することもできませんでした。

なかなか蛹化しない事を心配しながらも、それでもあきらめずにいたんですが、先週1頭が動かなくなってしまい、そして黒ずんでしまった姿を見て、とりあえず今回の実験に終止符を打つ事を決意いたしました。

幼虫の重さだけを単純に比較するのなら、高濃度酸素飼育のほうが優れていました。
29グラムを超えた個体が2頭も出たんですから。しかし、その2頭が2頭とも蛹化出来なかったという事実をどう見るかです。

酸素飼育で大きく成長したため、その個体が蛹化できる範囲を超えてしまったと見るか、それとも高濃度酸素自体の弊害と見るか・・・・・。
前者ならまだ高濃度の利用価値は十分ありますが、後者だとすると高濃度酸素飼育は大型が出る反面、非常に大きなリスクを背負った飼育方法ということになります。

高濃度酸素の羽化実績を見ますとメスは最大50ミリ。大型といえば大型ですが、通常飼育では50ミリ越えが出ておりますので、高濃度酸素飼育の優位性を立証するものではありませんでした。

そしてオスの最大個体はこちら。



体長78.5ミリ。測り方によっては限りなく79ミリに近づきます。

通常飼育では最大77ミリでしたので2ミリ近く大きな個体が羽化しました。
幼虫の時の体重が28グラムでしたので、前出の2頭をうまく蛹化させることが出来ていたら・・・・・。

と、いうわけで、長い月日と巨額(私にとっては)の資金を投じた実験はそれなりの成果を挙げる事が出来ました。しかし、幼虫の生命の危険を冒してまで、この飼育方法を続けるわけにはいきませんので、高濃度酸素飼育に関しましてはしばらくの間、中断したいと思います。

大型化が進めば通常飼育でも蛹化できない幼虫が出てくると思いますので、通常飼育下と高濃度酸素飼育下での蛹化できない幼虫の出現率を比較した上で、再開するかどうか検討したいと思います。

高濃度酸素飼育はひとまず終わってしまいましたが、今年はすでに高温飼育がスタートしております。成長期を30度前後の高温で一気に駆け抜けた幼虫たちは、どのような成長を遂げるのでしょうか。

先週、先々週と菌床の食いが早い高温飼育の幼虫をハチミツ600に移す作業を行いましたが、24℃に管理されたワインセラーの中の幼虫はまだ1頭もハチミツ600に移していません。

狭くて暗いワインセラー、そしてあまり長い間開けておくと中が温まってしまうので、一つ一つ手に取って幼虫の成長具合を確認することは出来ませんでしたが、プリンカップの側面を見る限りでは、まだ菌糸ビンを交換しなくても大丈夫と思える食痕でした。

「いくら温度が低いとはいえ、成長の早い個体はそろそろ交換の時期だろう」
高温で飼育している個体の中には2週間も前にハチミツ600に移したものもいるんですから。今回はワインセラーからプリンカップを全部取り出して、1頭1頭成長具合を確認することにしました。

電気代を節約するために、プリンカップを一気にワインセラーから取り出したあと、ゆっくり1頭ずつ確認していきます。

するとどうでしょう。
プリンカップの側面を見る限りでは、まだまだ交換の時期とは思えなかったのですが、幼虫たちはかなり大きく成長していました。

高温飼育の幼虫は、すぐにぐるっと1周して菌床を掘り返してしまいますが、それに比べると、とてもきれいに食べています。

みんな蛹室まがいの部屋を作って、しっかり居食いしています。壁はしっかり固められていて菌糸が再生している壁まで見受けられます。

ここまできれいな部屋は高温飼育では見られませんでした。

比較的温度が低いから活動が制限されて居食いにつながったのでしょうか。それとも食べるペースが遅いので菌床が再生し、蛹室まがいのものが出来上がったのでしょうか。
他にも考えられる原因はたくさんあると思いますので、ハチミツ600に移したあとも、温度による食べ方の違いに注目して観察して行きたいと思います。

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