「超特価! 5台限定 COOLPIX S5 ¥9,800円!」
新聞の折り込み広告を、何気なく眺めていたら、突然飛び込んで来た文字。
NikonのCOOLPIXといえばSonyのサイバーショットと共に、一度は使ってみたかったデジカメ。
しかし値段が値段だけにそうやすやすと買える物ではなく、「今のデジカメが使える内は・・・」と欲しい気持ちを必至に抑えていました。
それが今、少し無理をすれば手が届く価格で販売されています。
しかも、数時間後の開店時には、即売り切れになってしまうであろう限定品。
「どうする?」
どうするって言ったって、新聞の折り込み広告に載っている情報だけでは、買うかどうか決める事は出来ません。すぐにパソコンの電源を入れて「COOLPIX S5」についての情報を集める事に。
「発売したのは1年前か・・・・」
2006年2月21日に「S5」と「S6」を同時発表しているみたい。
「S6」は「S5」よりモニター画面が大きく、無線LANが搭載されているだけで、主な仕様はほぼ同じらしい。そして、2006年9月に「S7」「S8」「S10」を発売している。
2007年春モデルはまだ発売前だから、現行モデルのひとつ前のモデルになる。
値段が値段だけに、かなり古いモデルではないかと思っていましたが、そうでもないらしい。
と、なると、気になるのはデジカメに搭載されている「映像エンジン」。
2年半前、型落ちした「IXY DIGITAL 40」を買うかどうか迷った時にいろいろ調べていて分かった事なんですが、画像の仕上がりだけでなく、起動時間やピント合わせなど、デジカメの主要性能のほとんどが「映像エンジン」によって決まっているようなんです。
当時最新だった「IXY DIGITAL 60」も、型落ちした「IXY DIGITAL 40」も、同じ映像エンジン「DIGICU」を搭載していたため、起動時間やピント合わせ、撮像素子、焦点距離、開放絞り値、撮影感度、シャッタースピード、光学ズーム、AF方式、測光方式等々、同じものばかり。違うのは画素数だけなのに値段は半額以下という事で、型落ちした「IXY DIGITAL 40」購入した経緯がありました→。
逆に、私が愛用しているLUMIXシリーズは、「FZ2のビーナスエンジン」、「FZ5のビーナスエンジンU」、「FZ50のビーナスエンジンV」と、映像エンジンがバージョンアップするたびに、起動速度やピント合わせ速度などが飛躍的に性能アップしました。
「COOLPIX S5の映像エンジンは型落ちしているのだろうか」
とても気になります。
さっそく、Nikonのホームページに行き、調査してみましたが、Nikonでは「映像エンジン」と呼ばずに「画像処理エンジン」と呼んでいる事が分かっただけで、画像処理エンジンにバージョンどころか名称すら付いていない事が判明。調査が行き詰ってしまいました。
量販店に行って、実際に操作してみれば、起動速度やピント合わせ速度などを知る事が出来るのですが、旧型の商品を展示しているわけも無く、運良く展示品があったとしても、展示品を確認していたのでは、5台限定の特売品が売り切れになってしまいます。
「どうしよう・・・」
こうなったら、ホームページの情報を元に推測するしかありません。
「手ブレ補正が付いたのか・・・・」
現行モデルには手ブレ補正が付いていますが、「COOLPIX S5」は手ブレ補正が付いていません。
ISO感度も改善しているようです。と、なると、映像エンジンはバージョンアップしたと考えるべきか。
しかし、「顔認識AF」や「アドバンスド赤目軽減」、「D−ライティング」などの売りとなる主機能や、操作系の目玉である「ロータリーマルチセレクター」は、変わっていないようです。
「手ブレ軽減機能を強化した程度で、大幅なバージョンアップではないみたい」
買うか買わないか意思決定するには、何とも、どっちつかずの調査結果です(^_^;)
「COOLPIX S5」の使用目的はもちろんシーバス釣行時の撮影。
今は「IXY DIGITAL 40」を使用しておりますが、「IXY DIGITAL 40」を買った当時、購入の候補に上がっていたのが「COOLPIX S1」。しかし、当時はとても高価だったため、手を出す事が出来ませんでした。それが2年以上の歳月をかけ、「S1」が「S5」に進化した上、1万円を切る価格で私の前に再び現れたんです。
「天のお導きってヤツか?。やっぱ、買うっきゃないよなぁ」
デジカメは、メーカーによってそれぞれ特徴があるようです。
キャノンはピント合せが素早く正確。操作時の反応もとてもキビキビしています。
FUJIFILMはフイルム時代から培ってきた感度に関する技術がずば抜けていて、高感度でも画像の劣化を抑えたきれいな写真を撮る事が出来ました→。パナソニックはFZ2、FZ5、FZ50と買い替えて、それぞれ映像エンジンもバージョンアップして行きましたが、撮影した写真の味である「パナソニックらしさ」が変わる事はありませんでした。
「Nikonのデジカメ・・・・」
Nikonという会社が、どんなデジカメを作っているのか。「IXY DIGITAL 40」がまだ十分使える事は分かっていますが、どうにもこうにも買いたい衝動を抑える事が出来ません。
「まだ買えると決まったわけではないからな」
台数限定です。確実に買える保障はありません。
とりあえず並んでみて、買えたら買うという、何ともいい加減な・・・というより、「無駄使いはいけません」と言う良心を言いくるめる形で、いそいそと出かけて行くのでありました。
「COOLPIX S5」目的で並んでいた人は私を含めて3人。難なく購入する事が出来ちゃいました(^_^;)
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「COOLPIX S5」
有効画素数 |
600万画素 |
撮像素子 |
1/2.5 CCD |
光学ズーム |
3倍 |
撮影距離 |
マクロモード4cm〜、通常30cm〜 |
連写 |
約2.2コマ/秒 |
シャッタースピード |
2〜1/500秒 |
オートフォーカス |
コントラスト検出方式、AF補助光付き |
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まずは、液晶保護フィルムの貼り付けから。これがないと、なんとなく不安なんですよね(^_^;)
保護フィルムを張る時に、とても気になるのが表面に付いたゴミ。専用のクリーニングペーパーなどを使っても、どうしても小さなゴミが残ってしまって、メチャクチャ気になる(笑)。
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で、考え付いたのが「マスキングテープ」。ペンキを塗る時に、塗りたくない場所に貼っておくテープです。
このテープは綺麗に剥がす事を目的として作られておりますので、剥がした面に接着剤などが残りません。
マスキングテープで液晶画面をペタペタしてあげれば、頑固にこびり付いたゴミも、隅に入り込んでしまったゴミも綺麗に取る事が出来ます。 |
あとは、新たなゴミが降って来ないうちに液晶保護フィルムを貼れば完了。
さあ、実際に手にとってインプレッション開始です。
手に取って最初に感じたのは、非常に薄いという事。
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実際に測ってみると厚さ20mmちょっとで、「IXY DIGITAL 40」より2mm程度しか薄くありませんが、モニター部分の出っ張りをうまく処理し、前面を緩やかな曲線で引き締めているため、実際よりかなり薄く感じます。 |
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曲線を多用した優雅なデザインのため、とても小さく感じましたが、こうして比べてみると「IXY DIGITAL 40」より一回りほど大きくなっています。
厚さが2mm程度しか薄くなっていない事を考えると、「コンパクト」という点では「IXY DIGITAL 40」に軍配が上がりそうです。 |
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モニターは2.5インチ。
ゴチャゴチャと細かいボタン類が無くて、使いやすさに徹している点は好感が持てますが、私が良く使うマクロモードへの切り替えが、「マクロモード選択→マクロモードON→決定」と、3回もボタン操作が必要なのが、かなりきつい。 |
さて、充電も出来ましたし、さっそく撮影してみましょう。
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長押し式のボタンで電源を入れると、レンズカバーが「シュッ」と横にスライドして中からレンズが覗く。
「IXY DIGITAL 40」のように、レンズがニョキニョキと出て来ないから起動がメチャクチャ早い。
「どれ位早いんだろう」
「IXY DIGITAL 40」を左手に「COOLPIX S5」を右手に持って同時に電源を入れてみる。 |
「シュッ」
「COOLPIX S5」のレンズカバーが、一瞬で横にスライドする。
「ウィ〜ン」
「IXY DIGITAL 40」のレンズがズルズルと出て来る。とてもじゃないが「IXY DIGITAL 40」は太刀打ちできない・・・と、思ったのですが、モニター画面にアイコンなどが表示され、先に撮影可能状態になったのは、なんと「IXY DIGITAL 40」。
「ひえ〜」
「COOLPIX S5」が発売されたのは2006年02月。
「IXY DIGITAL 40」が発売されたのは2004年10月。
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いろいろ機能が増えたため、立ち上げに時間がかかってしまうと言う事も考えられますし、モニターが大きくなったため、立ち上げ時に必要な電圧を得るのに時間がかかると言う事も考えられます。
早いと言っても、ほんのタッチの差ですので、それ程気にする事ではないでしょう。
ついでに、ピント合わせの速度を比べてみる事に。
「COOLPIX S5」と「IXY DIGITAL 40」を両手に持って同時にシャッターを半押し。 |
「ピピッ」
「IXY DIGITAL 40」からはピントが合った事を知らせる電子音が鳴る。
しかし、「COOLPIX S5」は沈黙したまま。
「ん、どうした?」
何度半押しも、ピントが合った時に鳴る電子音が聞こえてこない。
「ピントが合っても電子音が鳴らないのか?」
マニュアルを調べてみましたが、それらしい記述は無し。
「AF表示が緑になったらピントが合っています」「AF表示が赤の時はピントが合っていません」と書いてあるだけ。どうやら音では知らせてくれないみたい。
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今まで買ってきたデジカメは、みんなピントが合った事を音で知らせてくれたので、音がないとちょっと物足りないというか不安というか・・・・。
しかも3つ選べるシャッター音は、どれもこれもちょっと間延びした感じの優しい音ばかり。「一瞬を捉えた!」と言った感じの鋭い音が無く、イマイチ緊張感に欠ける(^_^;) |
まぁ、この辺は好みの問題ですから、しょうがないですね。
ピント合わせ速度はほぼ互角。
「IXY DIGITAL 40」を買った時、「IXY DIGITAL 40」と「COOLPIX」の「S1」のピント合わせ速度はほぼ互角でしたので、「COOLPIX」は「S1」から「S5」になっても、ピント合わせ速度はほとんど進化していないようです。
望遠、マクロなど、条件を変えながらピント合わせ速度の比較を進めて行くと、たまに「COOLPIX S5」のピント合わせが極端に遅くなる事に気が付いた。
「今、遅かったよなぁ」「あっ、また遅かった」
何度も撮影しているうちに、だんだんとピント合わせが遅くなる条件が分かってきました。
それは、暗い場所でのピント合わせ。
明るい場所ではほぼ互角のピント合わせ速度ですが、ちょっと暗くなると、とたんに「COOLPIX S5」のピント合わせが遅くなります。AF補助光を使うような撮影になると、シャッターを押してから実際に写真が撮影されるまでに2秒以上もかかります。
シーバスはナイトゲームがメイン。ほとんどの場合、AF補助光を使った真っ暗闇での撮影です。
生き物であるシーバスをメジャーの横に置き、手を離してから暴れだすまでのほんの一瞬に撮影を行うような芸当は、「COOLPIX S5」にはとても出来そうにありません。
撮影が間に合わず、シーバスが暴れてしまって何度もセッティングをやり直すようだと、シーバスを必要以上に弱らせてしまいますし、地面でシーバスが激しく跳ね回れば致命傷になりかねません。
釣り上げたばかりのシーバスは1秒たりともじっとしていません。なのに、ピントが合うまで2秒待てというのは、とてもできる相談ではないでしょう。リリースを前提としている以上、釣行には引き続き「IXY DIGITAL 40」を使うしかないようです。
そういえば、「FinePix F30」にはマクロ撮影時にピント合わせが極端に遅くなるという特性がありました。
デジカメの特性は、カタログを読んでみたり、お店でちょっとじってみたりしただけでは分からない事も多いようです、勉強になりました。
ちなみに「FinePix F30」や「LUMIX DMC−FZ50」では、AF補助光での撮影で極端にピント合わせが遅くなる事はありませんでした。「COOLPIX S5」の特性なのか、「COOLPIX」の特性なのか、はたまた「Nikon」の特性なのか・・・・気になるところです。
釣行用は起動も補助光撮影も素早い「IXY DIGITAL 40」。クワガタ用は感度抜群で薄暗い場所でのフラッシュ無し撮影に適した「FinePix F30」。本格的な撮影はフルマニュアル操作が可能な「LUMIX FZ50」。
となると、「COOLPIX S5」は・・・・ちょっとしたお出かけ用?。
オールマイティーに使える手軽なコンパクトデジカメを目指したといったところでしょうけど、それが逆にこれといった特徴が無く、使い勝手の悪いデジカメになってしまったような感じ。
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デザインは良い、充電やパソコン接続時に使える洒落たスタンドも付いている。起動も早く、AF補助光を使った撮影以外のピント合わせも良好。
カチッとした操作感のない「ロータリーマルチセレクター」はちょっと使いづらそうだけど、慣れれば案外便利かも。
ちょっと出かける時には常に携帯し、あれこれ撮影しながら、Nikonのデジカメ作りに対する考え方を少しずつ理解していけたら・・・・そんな感じの1台です。 |
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