もはや電話などかかってこないだろうと思っていた生命保険のおばちゃんから唐突に電話がかかってきました。
電話をかけてきたという事は、それなりの勝算があるという事でしょう。
「私の約款の読み方が甘かったのだろうか?」
あれだけ細かい約款だ、もしかしたら私が見落としていた部分があったのかもしれない。
緊張しながら彼女の話に耳を傾ける。
「就労保障と介護保障の件ですが、ご指摘の通り500万円未満には減額出来ないと約款に書いてあります」と、いきなり私の意見を正当化する彼女の発言。
しかし、それはすなわち「就労保障も介護保障も自由にはずせる」といっていた彼女の説明がウソになると言う事。いったいどう釈明するつもりだ?。
「他社に先駆けるため大急ぎで販売開始した商品ですので多少未完成の部分もあり、販売後も少しずつ改善が進められています。ですので約款とは違いがありますが、2つとも自由に
はずせるようになる事は間違いありません」
なるほど、とりあえず販売時期に間に合わせるために、多少条件を厳しく設定した形で販売し、販売後に緩めていくという形をとった訳ね。
「500万円未満には減額できない」なんて条件があったんじゃ勧誘の時にかなり不利になりますから、現場の声でこの条件をはずす事にしたんでしょう。
客にとっては縛りが1つ外れるだけですから誰も文句を言わないでしょうし、販売員も売りやすくなる。保険会社にとっては2つともはずされると収入は減ってしまいますが、あとからはずされるより入る時に付けてもらえない方が損ですからね。
彼女はこういった経緯など知らずに、講習で教わった通り「2つともはずせます」と説明したわけだ。
今までは誰一人として、疑問を持つヤツなんていなかった。そりゃそうだ、保険に入るときに約款なんて読むヤツはいない。しかし、ここに一人変なヤツがいて、約款を読んじゃったもんだから話がややこしくなっちゃったって訳ね(笑)。
生活習慣病特約の解約についても同じような理由で、現状と約款に違いが出て来ているとの事。
まあ、この話も彼女の作り話という可能性もあるけど、何もかも疑ってかかったのではラチがあかないのでとりあえず信じる事に致します。
しかし「特約の保険料が一生変わらない」という部分の釈明については、明らかに彼女は勘違いしてしまって何の回答にもなっておらず、逆に私の不信感を募らせる結果となってしまいました。
かなり難しい話ですが、保険には主保険と特約の部分とがあり、主保険には終身型と更新型があります。そして、特約には有期型と全期型があります。
主保険が終身で、それに付随する特約が全期型の場合「終身の全期」という意味になり、
約款では特約も一生値段が変わらないとなっております。
しかし主保険が更新型だと、それに付随する特約が全期型の場合でも「更新までの全期」という意味になり、約款では主保険の更新と共に特約も更新される事になっています。
もちろん特約自体が有期型ですと、一定期間が立つと特約は更新される事になります。
すなわち、主保険が終身で特約が全期型の場合のみ、特約は一生保障になるのですが、
その辺の細かい条件を確認せずに、彼女は「更新型の全期型」の部分の説明を「終身型の全期型」と勘違いしてしまっていました。
しかし彼女を責めるつもりはありません。この辺の記述は非常に難しく、プロでも間違ってしまう事もあるでしょう。問題はこういった記述にした約款の作成者にあると思います。
というわけで「特約の値段は一生変わらない」という部分については次回の宿題となりました。
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販売員の話
前回
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販売員の話
今回
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「ご契約のしおり」と
「約款」の記述
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就労保障
介護保障
の保険料
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変わらない
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不明
調査継続
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「更新型」の記述のみで
「終身型」の記述がない。
そして「更新型」は
値上げされる。
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就労保障
介護保障
の単独解約
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可能
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約款にとは食い違うが
近いうちに可能になる
公算が大きい。
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500万円未満には出来ない
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生活習慣
病特約
の解約
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出来る
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約款とは食い違うが、
2年後に必ず
出来るようになる。
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会社の定める金額以下に
は出来ない。
ただし、その金額の
記述は見つからない。
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ここまで来ると、言っちゃ悪いがどう評価したって彼女を信用することは出来ない。
その上、今まで私をだましにやってきた逆ザヤ改善隊のように、すぐにばれる単純な戦略でない分、たちが悪い。
生命保険でなければこんな信用の置けない会社とは即解約なのだか、逆ザヤ保険なので解約してしまったら、得をするのは保険会社で、損をするのは私になってしまうからややこしい。
こうやってウソを並べ、信用できない会社と思い込ませて、逆ザヤ保険を解約させるという
緻密な戦略の可能性まで見えてきた。
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