５月１日に祖母が他界いたしました。享年９５歳。
ちょうどゴールデンウイークと重なって、あれこれ考える時間が沢山できたので、その時考えた事の一部を書きとめておくことにしました。
非常に重い話ですが取り留めも無い独り言です。
もし私以外に読まれる方がおられましたら、あまり深く考えず軽く読み飛ばしてください。
では、本文へ。
祖母の子供（私の父親の兄弟）はなんと６人。祖母は戦前戦後の食糧難の中、五男一女を育て上げました。その苦労たるや今の我々では想像も出来ないほど過酷なものであったことでしょう。
祖母の目には今の少子化はどのように映っていたのでしょう。
戦況が悪化し、食糧事情も悪くなる中、国の政策に何の疑いも持たず沢山の子供を生んだあの時代。そして、世界のほんの数パーセントといわれる裕福層でありながら、国や職場の制度に不平不満を述べつつ、次世代の育成を放棄し、少子高齢化への道を転がり始めた今の時代。
同じ日本での出来事であり、同じ日本人がやっている事。
そこには戦前には無かった個人の自由が介在するのでしょうか？。
そして、少子高齢化とセットで考えられているのが年金問題。
祖母の世代は戦後の食糧難の中、次世代の担い手である子供たちを沢山育て、そして自らはまさに飲まず食わずで働き通し、戦後復興の礎となった。
おかげで次の世代（私の父の世代）には、食べることに困らず、ささやかな蓄えが出来るまでに日本は回復した。それもこれも飲まず食わずで働いて来た先代のおかげ。
「老後を迎えた先代には少しでも楽な生活をしてもらいたい」そういう気持ちが「年金」という制度になったのではないだろうか。
そして、私の父の世代は高度成長期に当たる。
私が子供の頃、父は土日も休まず朝から夜中まで働いていた。
夜、寝る前に雨戸を閉める時、父が働く向かいの工場の灯りはいつもついていた。
高度成長期は日本中のお父さんたちが休日も取らず、夜遅くまで働いていた時代だ。
その人たちのおかげで今の経済大国日本がある。
休日にはドライブに出かけ、長期休暇のときは海外旅行に出かける。そんな生活が出来るのも、高度成長期に休まず眠らず働いてきた先代のおかげだ。
「モーレツ社員」だの「働きハチ」だの「働くことしか知らない」だの散々バカにされ、それでも働き続けた先代のおかげだ。
働きずくめで働いて来た先代たちも、今はもう老後を迎えている。
今まで休めなかった分、これからの老後くらいはゆっくり海外旅行にでも行ってもらいたい。
それくらいの年金をもらっても、誰も文句を言わないだろう。
生まれながらにして裕福なら、それは先代のおかげ。
成人して収入を得るようになれば、先代に対して御礼をすべきであろう。
それが年金というものではないだろうか。
翻ってわれわれの世代はどうだろう。
先代が築き上げてきた経済大国日本の上にあぐらをかくだけでなく、バブルで浮かれた挙句、この国をメチャクチャにしてしまった。しかもバブルの頃の生活が忘れられず、税収が半分に落ち込んでいるにもかかわらず、歳出はバブル絶頂期の水準のまま。借金に次ぐ借金で、もはや借金返済のために借金をするような状態にまでなってしまった。
戦後の食糧難に沢山の子供を育てた人たちがいるのに、世界で最も裕福な国にいながら、国や社会の制度を不備ばかり指摘して次世代の担い手を育てようともしない。働き手も育てないまま借金まみれの日本を次世代に押し付けて「年金よこせ」と叫ぼうとしている。
払った分だけ年金が受け取れる今の制度では、次世代の人たちにとって不公平ではないだろうか。先代が残した借金の返済に苦しんでいるのに、先代は年金でのうのうと暮らしていたら誰だって頭にくるだろう。
「あなたたちには年金は払いません。その分、あなたたちが残した借金の返済に回します」
そんな言葉が次世代の人から聞こえてきそうだ。
「次の世代に、より良い日本を手渡すことが出来たら、より多くの年金がもらえる」
そういう年金制度であれば、次の世代に責任を持つ事になり、今の制度よりずっと平等と言えるのではないだろうか。もちろん我々の世代は、働き手も育てず借金まみれの日本を次世代に押し付けるわけだから、年金なんてもらえなくなってしまうかもしれないが・・・・。
祖母の葬儀に集まった祖母のひ孫は、乳飲み子から小学生まで２０人近く。
天寿を全うした祖母へ送る言葉と、次世代を担う子供たちへ送る言葉。
なんとなくいろいろ考えさせられる一週間でした。 |