<シーバスルアー 編>
シーバスルアーのインプレはこちら
今回もおなじみシーバスボート 「福の神」さんのお世話になってまいりました。
東京湾のストラクチャー狙いをメインとしたシーバスチャーターボート。釣りだけじゃないその楽しさは、乗ってみなくちゃ分からない。初心者の方なんか絶対お勧め。ぜひ一度乗ってみてください。
早朝・・・というより深夜といった方がいいかな、3時出船です。
おニューのギアを試す時はいつも胸が高まります。
出船の準備をしていると、私がメガネをかけていない事に気が付いた船長のタムラさん。
「あれ、よしだっちさんメガネどうしたの?」
「今日はコンタクトレンズなんですよ、偏光サングラスってヤツを試したくて」
「メガネをかけていないと雰囲気が全然違うね。まるで別人みたい」
だって。合コンで美しい女性に言われたのなら返す言葉の一つや二つ、すぐに思い浮かんだんだけど、海の男から出た思いがけない言葉に、返す言葉を失ってしまいました(笑)。
さあ、出船です。まだ夜明けまで沢山時間があります。
まずは、荒川河口に直行。しかし、あまりにも流れが速すぎ、まともにルアーを泳がせることが出来ません。魚も付いていないようだったのですぐに移動。
次に狙ったのは停泊船周り。夜でも煌々とライトがついている停泊船は、小魚の集まる場所。そしてその小魚を追ったシーバスが集まる絶好のポイントです。
いつものようにナイトレイド97Fを付け、ストラクチャーに向かってキャスト。
しかし、今日はいつもと違っているものがひとつあります。
そう、それは使い捨てコンタクトレンズ。
メガネからコンタクトレンズに変えたからって、釣果なんて変わらないですって?。
いえいえ、私の場合、これがとんでもなく変わるんですよ。
メガネはあまり度がきつくならない様、自動車免許が取れるギリギリのラインの視力0.7で調整してあります。日常生活や昼間のシーバスゲームでは特に問題ないのですが、薄暗いナイトゲームですと、周りが良く見えないんです。
ですので、ルアーを遠くにキャストしてしまうと、飛んでいったルアーが途中で見えなくなり、着水ポイントもわからなくなっちゃうんです。イメージした場所に着水したのなら問題ないのですが、思いのほか良い場所に着水したならルアーをじっくりシーバスに見せたいですし、思った場所からずれてしまったらルアーに動きを与えてシーバスにアピールしたい。
でも、着水ポイントが分からないと、そういった微調整が出来なくなっちゃうんですよね。
陸っぱりなら着水ポイントが見える距離まで忍び足でストラクチャーに近付けば良いのですが、ボートではそうは行きません。遠くに投げてルアーの場所が分からない釣りをするか、遠くのストラクチャーはあきらめ、近くに投げてルアーが見える釣りをするかの二通り。どちらにしても釣果は落ちます。
決定的なのはストラクチャーの少し向こうにルアーをキャストして、リトリーブでストラクチャーの横を通過させるような釣り方。ストラクチャーの横を通過する一瞬が勝負なのですが、着水ポイントもラインも見えないとなると、どうする事も出来ません。
それにキャストの角度や風によってルアーがストラクチャーの後ろに回りこんでしまうと、ラインがストラクチャーを擦って痛んでしまったり、最悪ルアーが根掛かりしてしまう事もあため、着水ポイントが見えないような距離にあるストラクチャーは、どうしてもタイトに攻める事が出来なかったんです。
しかし、今回買ったコンタクトレンズはいわば釣り専用。そのために視力1.2以上で調整しました。今までの視力の約2倍。停泊船からの漏れる明かりの中でも、飛んでいくルアーの雄姿が最後まではっきり見えます。コントロールを無視したフルキャストだって着水した場所をしっかり確認できます。
しかもラインは純白に輝く東レのPEライン。ラインが指向する先をコンタクトレンズを装着した目でたどって行けば、リトリーブ中でも移動して来るルアーの位置をはっきり把握できます。
「これはすごいな」
今までとは比較にならないほどの大量の視覚情報に愕然。
夜は見えないとずっと思っていましたが、昼間とほとんど変わらない釣りができます。
停泊船の船尾のさらに先に角度を付けてシーバスルアーをフルキャスト。
ルアーが船尾から2メートル先、船を回りこむように着水するのがはっきり見える。
ディップからルアーにまっすぐ伸びる純白の細いPEライン。そのラインが船尾と舷側で出来た角を擦らないようロッドで角度を調整しリトリーブする。すると、ラインに導かれたルアーは舷側と船尾の角、ギリギリのところを舐めるように通過する。
この最高のアピールにシーバスが黙っているはずがない。
もう最高。
着水ポイントさえ見えれば、長年培って来た陸っぱりでのナイトシーバスの知識がフルに活用できます。
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「ちょっとずれたからルアーに動きをつけるか」とか「いい所に入ったぞ。ここはゆっくり巻いてじっくりアピールだ」なんて、ルアーに微調整を加えながらストラクチャーに付いたシーバスを1本1本確実に釣り上げていく。
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見えないルアーを勘を頼りに操作していた時の釣りと、見えるルアーを今まで培ってきた経験で操作する釣りでは次元がまったく別。「早く明るくならないかなぁ〜」とぼやいていた昔がウソの様。このままずっと夜が明けないでくれって感じでした。
しかし歴史上、明けなかった夜はありません。
小さいのも含めると20本ほどの釣果を上げたところで空が次第に明るくなり、やがてデーゲームへと状況は移っていきました。
ナイトゲームなら、陸っぱりで釣った時のイメージが幾重にも折り重り、それが感覚として体に染み付いていますので多少なりとも自信があるのですが、デーゲームとなると始めたのは5年前、年間の釣行回数も少なく、釣ったシーバスも数百匹と、素人に毛の生えた状態です。
しかし、経験不足というのがデーゲームの最大の魅力。
まだまだ分からない事だらけですので、行く度に新しい発見があります。
「こうしてみたらどうだろう、ああしてみたらどうだろう」
そんな試行錯誤を繰り返し、思い切り悩みながらも徐々に成長して行っている時が一番楽しい時なんですよね。
今回も沢山新しい発見がありました。
シーバス釣りは、釣れなければもちろんつまらないのですが、釣れ過ぎても面白くないんです。
ルアーを変え、リトリーブを変え、あの手この手を尽くして釣るから面白いのであって、どこにどんなルアーを投げても釣れる様じゃ、全然面白くありません。
そういった意味では、今回の釣行はシーバサー冥利に尽きるといった感じでした。
釣れずにあれこれ思い悩んでいると、まるで考える時間を与えてくれたような、程良いタイミングでポツポツ釣れる。飽きもせず、退屈もせず。まるで全ての演出を計算しつくした遊園地のアトラクションのよう。
ですから、いろいろとトライする事の多い釣行でした。
釣れない時間帯は、外から見ると何も考えずに、ただひたすら機械作業のようにルアーキャストを繰り返しているようにしか見えませんが、実は頭の中はフル回転し、今までの経験をたどりながら次に打つ手を必死に考えているんです。打つ手のほとんどが不発に終わるのですが、今回ひとつだけ当たりかけた手がありました。
初夏の頃、今攻めている護岸際の水面直下をハイスピードで泳いでいる5cm位の透明な稚魚の列を何度か見た事がありました。
「あのパターンでシーバスを誘えないか・・・・」
季節は違います。あの稚魚の列にシーバスが襲い掛かった事実もありません。
しかし、物は試しです。晴れの日のデーゲームには場違いのナイトレイド80Fを取り出す。
色はもちろんシラスカラー。護岸際の水面直下をリトリーブ。スピードは、そうあの小魚と同じスピード。
すると1投目でいきなりHIT。さらに3投目にもHIT。
信じられません。10投も20投も繰り返しキャストしてきたのに一度たりとも反応がなかった護岸です。なのにナイトレイド80Fのファーストリトリーブに変えたらいきなり連続HIT。
もう少しこのパターンを試してみたかったのですが、長い護岸も一通り攻め終わってしまったので、ボートは別の場所へと移動する事になりました。ちょっと残念でしたが、これが最後というわけではありませんので、次回のお楽しみとして取って置く事に致しましょう。
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他にも、水面直下でのフォールやデッドスローのリトリーブなど、ナイトゲームではパターン化された手法でも、デーゲームにはとても使えないだろうと考えていた釣り方で次々にシーバスをGET。 |
どちらも、局地的にしか通用しないパターンでしたが、次回「福の神丸」に乗って、あのストラクチャーを攻める時には大きな武器になる事、間違い無しです。
<SALTY SHOT(ソルティーショット)のレビュー>
今回はさらに大きな発見がありました。それはソルティーショットの真の力。
湾奥のシーバス釣りでは、10gにも満たないシーバスルアーを投げられる繊細な細いディップと、60cm以上のシーバスとファイトしても負けないパワフルな太いバットが必要になります。
ロッドが長ければ細いディップと太いバットが両立したものはいくらでもあるのですが、ボート用の短いロッドでは、メインに使う10g程度のシーバスルアーにあわせてロッドを選ぶと、バットのパワーがどうしても足りなくなってしまっていました。
ロッドが短いのでしょうがないとあきらめていたのですが、今回使用したソルティーショットは10g程度のシーバスルアーのキャスティング性能もハイレベルでクリアしていながら、70cm前後のシーバスに力負けしないパワーも持ち合わせていました。
正直言って、このソルティーショットは、7フィートの長さのロッドの取り回しについて調べたかっただけのものでした。ですから長さが7フィートであれば何でも良かったようなお試しロッドの予定でした。
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しかし70cmになろうかというシーバスとファイトをしている時に、今まで使ってきたボートロッドにはない、次元の違うパワーに驚きました。 |
そのパワーはデスペラードの832Lに勝るとも劣らないレベル。
10gにも満たないのシーバスルアーをしっかりキャストできるという事を考えれば、7フィートという短さからは想像も出来ないパワーです。
さらに驚いたのがシーバスが船底に逃げ込んでしまった時の事でした。今まで使ってきたボートロッドでは、ロッドが必要以上に曲がってしまい、パワーがかけにくい状態になってしまっていました。
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しかし、このソルティーショットはディップは曲がるものの、センターでパワーをかけ、バットはあまり曲がらずしっかり支える構造になっていたため、シーバスを船底から引きずり出すのが非常に楽。
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「7フィートであればどんな竿でも良い」と言った感じで買ったロッドです。ですので、このロッドに対する予備知識などまったくなかったため、帰宅後すぐにシマノのホームページに行き、ソルティーショットについて調べてみました。
しかしそこには「ソルト界を席巻しつつあるAR-Cの調子を、そのまま移植」と書いてあるだけ。
AR-Cとは別のロッドの名称のようです。すぐにAR-Cの説明が書かれているページに飛んでみると、そこには「超ファーストテーパー」の文字が。
ロッドを開発したシマノは、軽いシーバスルアーを投げられるディップで重いルアーを投げると、必要以上にロッドが曲がって投げにくいという問題を解決するために、超ファーストテーパーを採用した様です。
それが、10g未満のシーバスルアーを投げられる細いディップから、センターに向かうと急激にロッドが太くなる構造になったため、図らずも60cmを超えるシーバスにも力負けしないバットパワーが得られていたんですね。
さらに、しなやかなディップ、反発力のセンター、パワーのバットという考え方が、船底に逃げ込んだシーバスを引っ張り出すのに非常に効果的なロッド構造になっていたようです。
どちらもシマノが望んだ結果ではなく、ある種、副作用的な効果ですが、その副作用が私にとってはすばらしい効果となりました。
シーバスを弱らせてから引っこ抜く陸っぱりでは、長引くファイトに威力を発揮するスローテーパーが私にとって理想でしたが、ファイトの途中で船頭さんが用意した網に、半ば強引にシーバスを引きずり込むボートゲームではファーストテーパーの方が使い勝手が良いようです。
ロングロッドで丁寧なやり取りをする陸っぱりにはスローテーパー。
ショートロッドで強引なやり取りをするボートゲームにはファーストテーパー。
寸法や使い方が違うと、相反する構造を持ったロッドが有用になるとは夢にも思いませんでした。
今まで使ってきたボートロッドが一瞬にしてお蔵入りしてしまうほど素晴らしい出来のロッドにもかかわらず、実勢価格は15000円以下。これは絶対お勧めです。
今回は視力の話やソルティーショットの話ばかりで、全然釣行記になっていませんでしたね(^^ゞ
釣りの方はと申しますと、どのストラクチャーにもやる気のある居付きのシーバスが待っていてくれるといった感じ。1匹2匹は釣れるけど、後が続かない。
釣れなくて退屈する事もないし、爆釣で飽きる事もない。満足感いっぱいの釣りでした。
釣果の方はと申しますと、ロッドのインプレや、釣り方を考えるのに夢中でまったくカウントしていませんでした(^^ゞ
「福の神」さんのホームページに釣果が載っていましたので、頭割りした私の釣果は小さなセイゴまで入れて50匹程度。今回ソルティーショットのおかげでバラシは比較的少なかったので70HITと致しました。あまりにも大雑把過ぎかな(^_^;)
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