<秋 シーバス釣り 編>
先週までのうだるような暑さが嘘のよう。あっという間に秋めいて、半袖ではちょっと寒いくらい。私のホームの湾奥の運河筋も、この1週間で、酸欠状態の夏の生ぬるい潮水が抜け、秋の潮水と入れ替わっている頃。
となると、私の体の中に流れる血が黙っていません。仕事終わりで夕食をかきこみ、用意もそこそこに、いそいそと釣行に出かけるのでありました。
ポイントに到着。
忘れかけていた潮の香りが漂う。海面はちょっと低め、これからソコリに向かう。
風は強め。アタリを取るのに邪魔になるレベルに達している。
と、顔にポツリと水滴が。
「雨?」
水滴など、できれば気のせいであってほしいものの、波しぶきが飛んでくるような状況ではなし、さらに、2粒、4粒と顔に水滴が当たりだして、雨だと確信する。
「まったく、もぉ〜。」
とはいうものの、雨はチャンス。湾奥のシーバスにとって最大の天敵はもちろん人間。雨ともなると、その人間の活動が停滞する事をシーバスはよく知っていて、警戒心が下がり活性が上がる。
秋シーズン初釣行だから状況が分からないためボーズも覚悟の釣行ですが、雨ともなれば、ずぶ濡れ直前まで粘れば3,4本は期待できる。
「晴天のボーズより、雨天の釣果」
そんな格言ないけれど、ずぶ濡れになるまでの短い時間に全てをかけるべく、実釣開始。
選んだルアーはNJ-85。この時期一番信頼しているルアー。
1投目キャスト。キャストというより、ロッドの感覚を思い出すために軽く投げた感じ。
しかし、3メートルほどリトリーブしたところでいきなりブルンとバイト。
「っぐ」
ショートバイトより多少長めのあわせ様のない振動を残して、そのシーバスは去って行ってしまいました。とは言うものの、体が勝手に反応してあわせに行かなかった辺り、体はかなりなまっているみたい(^_^;)
1投目で食ってきたので「今日は入れ食いかぁ〜」なんて、期待したのですが、その後はまったく続かず。しかも幸か不幸か雨も上がってしまいました。さらに風は強さを増し、釣りをするのにはちょっとつらいレベル。水深1メートル以内を狙うには波も高すぎるという事で、風裏へと移動する事に。
風裏のポイントに到着
波というレベルではないものの、水面がバチャバチャ騒いでいてとても良い感じ。
さっそくNJ-85を取り出してキャスト。すると10投も行かないうちにHIT。
バチ〜ンとあわせを入れて戦闘モード。ラインのテンションを確保してシーバスの出方を伺う。
「プルプルプル、プルプルプル」
セイゴだ(^_^;)
足元まで引き寄せそのまま引き抜く。
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この秋、一番最初に上がってきたのは35cmのセイゴ。
この辺りの運河筋は、潮通しが悪いので小さいシーバスしか釣れないけど、それでも秋なら40cmは欲しいところ。 |
気を取り直してさらにNJ-85をキャスト。この季節、この潮位、この気温、そしてこの水面。
狙い目は水深1m。
シーバスは水面を意識しているけど、春と違って水面直下までは上がって来ない。
リトリーブスピードより、レンジに意識を集中させてNJ-85をリトリーブしていると、程なくシーバスがHIT。
あわせを入れる。さあ、今度はどんなシーバスだ?。
シーバスは動かない。ロッドを立てて徐々にラインのテンションを増して行くが、ズルズルと引きずられて来る事もない。
「でかい」
感覚的には完全なる60cmオーバー。しかし体がなまっているから、もしかしたら50cmレベルかもしれない。そんな事を考えていたら、ついにシーバスが動き出した。
「ミーーーーーー」
動き出したシーバスは徐々にスピードを上げて、ドラグを鳴らして一気に沖へと走る。
「やっぱ、でかい」
ドラグを閉めて、気合を入れなおす。するとシーバスは90度回頭して右方向へと泳ぎだす。
そっちにある障害物に逃げ込むつもりのよう。
「まずい」
障害物に逃げ込まれてしまっては完全にラインブレイク。とは言うものシーバスにはまだ有り余るほどの体力が残っていますので、制御するなんて不可能。
バラシ覚悟でドラグを閉め、シーバスと力勝負へ。
「ぐへ〜〜」
慎重なファイトが信条の私にとって、久しぶりの力勝負。普段なら完全に身が切れてしまうか、フックが伸びきってしまっているような力比べなのに、よほど掛どころが良いらしく、一向にばれる気配がありません。
「お、おもいぃ」
完全に地面を釣っている時の感覚です。
しかし、さすがのシーバスも徐々にこちらに引き寄せられてきます。
私との真っ向勝負に、シーバスはほとんど力を使い果たしてしまった感じ。
「良くばれなかったなぁ」
足元近くによってきたので、少し余裕が出てきました。
シーバスは60cmを完全に超えている感じです。
「どうやって抜きあげる?」
力任せのファイトでリーダーはかなり傷が付いている事が予想されます。リーダーをつかんでの抜きあげはちょっと危険。かといって、ここは護岸で囲まれた埋立地、ハンドランディング出来る場所などありませんし、こんな大物に出くわす事もめったにないので、玉網も持っていません。せっかく足元まで寄せてきたのですが、そのままリリースするしかなさそうです。
「その前に写真だけでも撮っておくか」
水中を泳ぐシーバスの姿ですが、記念に写真を撮っておきましょう。逃げてしまっても、それはそれでかまわないので、ラインのテンションを緩め、背中のリュックサックからデジカメを取り出す。そして改めてラインにテンションをかけてみると・・・・
「ん?」
なんかおかしい。めちゃくちゃ重い。でもさっきと違う・・・・根掛かり?。
なんとシーバスはルアーを海底にこすり付けてはずし、そのまま逃げて行ってしまったようです。
「余計な事をしてくれたもんだ」
まあ、外れなかったらどうしようかという心配もなくなりましたので、良かったというべきかな。しかし、海底に引っかかってしまったルアーをはずそうとロッドを煽ったのですが、外れない(^_^;)
さらにラインを持って引っ張っても外れない。さらにさらに強く引っ張ったら・・・プツン!。
「げえ〜〜」
切れるほど強く引っ張ったつもりはなかったのですが、リーダーに傷が付いてしまっていたようです。
「NJ-85・・・・」
NJ-85は、もはや入手が困難なルアー。かなりの買い置きはありますが、その買い置きがまた1つ減ってしまいました。買い直せば良いというルアーと違って、入手困難なルアーをロストした時は本当にへこみます。
へこんでいてもしょうがないのでリュックサックから予備のNJ-85を取り出そうとしたら、なんと予備を入れているケースを家に忘れてきてしまっていました。今日の主力となるルアーも失って、もう踏んだり蹴ったり。
仕方ないので、レンジに多少不安があるものの、ルアーをタイトスラロームへ。
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ロットをたて気味にして、タイトスラロームのレンジを浅く保つようにリトリーブしていると、やっと秋らしいシーバスを釣る事ができました。 |
3匹共、とてもテンポ良くバイトしてきたので、魚影が濃く活性が高いのかと思い、ナイトレイド97Fやレンジキーパー95Fで、もう少し浅いレンジを狙ってみましたが、さすがにこちらには反応せず。
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ルアーをタイトスラロームに直して、1メートルレンジを保っていると程なくHIT。
この季節、この場所でのアベレージサイズ。 |
「このパターンならNJ-85が、最強なんだけどなぁ」
あの時逃がした魚は気にならないけど、あの時失ったルアーは大きい(^_^;)
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最後に一匹追加して納竿といたしました。
移動の時間を抜けば実質1時間程度の釣行で、6HIT4GET。
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今年の秋は期待できそうです。
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