<シーバスボート 編>
「おじいちゃん、そうじゃなくて、こうだよ」
「おお、そうかい、そうかい」
ウチでは70歳を超えるおじいちゃんと、4歳の孫が一緒になってwiiを楽しんでします。
25年位前、テレビゲームは教育上良くないものとして、プレーするどころか目の敵にしていた父母が、孫と一緒にテレビゲームを楽しむ日が来ようとは夢にも思っていませんでした。
一度もテレビゲームに触れた事のない老人と、説明書もろくに読めない4歳児が、一緒になって楽しめるんですから、wiiと言うゲーム機はなかなか良く出来ていますね。
どんどん複雑に進化してしまったため手に負えなくなり、最近はめっきりテレビゲームをしなくなっていた私も、久々に楽しんでいます。wiiの醍醐味はなんと言ってもたくさんの人でワイワイと楽しむ所にあります。その「みんなでワイワイ」の決定版とも言うべき 「マリオパーティ」
と言うゲームが7月26日に発売されました。親戚が子供を連れて集まった時には絶対盛り上がるゲームになること間違いなし。
7月27日 金曜日
翌々日の29日にシーバスボートの予約を入れてありましたので、その買い物ついでに「マリオパーティ」を買いに行くと、ちょっと前に発売されたwiiのソフト 「ドラゴンクエストソード」
がすでに中古で売られているのが目に止まりました。
しかも、発売からそれほど日にちがたっていないにもかかわらず、かなり安い値段。ネット上の話では「面白いもののすぐ終わってしまう」と言うような評価。面白いから大量に購入されて、すぐ終わるから中古市場に流れて値崩れしていると言った感じかな。
「買っちゃおう・・・・か」
面白そうな内容だったから、ちょっと気になっていたんですよね。さすがに新品は衝動買いできるほど安くないですが、中古なら何とかなりそう。それにクリアするのにそれほど時間がかからないなら、終わった時点でさっさとネットで売ってしまえば、無駄使いも少なくて済みそうですしね。と、言う事で、新品の「マリオパーティ」と、中古の「ドラゴンクエストソード」のお買い上げです。
家に帰って早速買ってきたソフトをプレイしてみる事に。金曜日の夜とはいえ、家族が集まってテレビゲームが出来るような様子ではなかったので、とりあえず自室にwiiを持ち込んで「ドラゴンクエストソード」をプレイ。
「ドラゴンクエスト」と言うから、町の人から情報を集めたり、装備や道具をきちんとそろえたりと、何かと面倒な事が多いのかと思ったら意外や意外、ストーリーはトントン拍子に進みますので、時間がたつのも忘れて、ついプレーにのめり込んでしまいます。
ストーリーを追いながら、画面に現れた敵をwiiリモコンを剣代わりにして倒していく単純なゲームなんですが、これが結構爽快で面白い。本当はリモコンを軽く振ればいいんですけど、そんなんじゃ雰囲気が出ない。「うりゃ、うりゃ」と声をあげて、縦横斜めに剣を大きく振り回し、現れる敵をバッサバッサと切り倒す。
飛んできた矢に対し、タイミングよく剣を振るうと「キンッ」って音がなって矢を跳ね返す事も出来るんですよ。しかも跳ね返した矢が、射掛けてきた敵に「ブスッ」っと刺さった時なんかは、もうルパン三世に出てくる石川五右衛門の気分。ポーズを決めて「またつまらぬ物を切ってしまった」とつぶやきたくなる心境です(笑)。
敵の動きを読んで一刀両断にしたり、敵の急所を見極めて一撃で倒したり、プレイヤー自身の剣さばきならぬリモコンさばきが上達するのも、のめりこんでしまう要素のようで、釣りの準備もそっちのけで、金曜日、土曜日と、夢中になって剣に見立てたリモコンを振り回しておりました。ちなみに「マリオパーティ」の方は、この2日間袋に入れられたまま忘れ去られておりました(笑)。
7月29日 日曜日
今回お世話になったのも、毎度おなじみ 「福の神丸」さん。いつもよりだいぶ早めの夜中の1:30出船です。
まずは荒川を攻めると言う事で移動を開始したのですが、移動の途中で照明のついた明るい場所をつまみ食い。ライトで照らされた海面の向こうにキャストし、明暗の境で食わせるスタイル。ルアーはもちろんナイトレイド。
本日・・・・というより、本年度の第一投。
忙しくてなかなか釣りに行けなかった今までの思いを込め、ロッド大きく振りかぶる。
「いっ、い、痛い」
ロッドを大きく振りかぶった瞬間、右肩に激痛が走る。思わずキャストを中断しそうになりましたが、キャストを中断するとルアーがあらぬ方向に跳ね回って危険なため、とりあえずキャスト・・・と言うより、安全な場所にルアーを放り投げたと言った感じ。
「なんだ、今の痛みは?」
ルアーをリトリーブしながら軽く肩を回してみるが、それほど痛みは感じない。
しかし、腕をあげると肩にかなりの痛みが走る。
「寝違えたか?」
いや、寝違えたにしてはちょっと痛みが鋭すぎる。それに寝違えて首筋が痛くなる事はあるが、肩の関節がこんな風に痛くなるなんて事は今まで一度もない。
「寝違い」以外の原因を頭の中に思い浮かべる。
「もしかして、これは・・・・ドラゴンクエストソードのせい?」
普通なら2,3個それらしいものが頭に浮かんだ後にモヤモヤッと正解が浮かんで来るものですが、今回は一発目ではっきりとした原因が頭の中で具現化しました。だって昨日まであんなに夢中になってやっていた事なんですから。
ムキになって剣・・・・というよりリモコンを振り回しすぎてしまったようです。
ルアーを再度キャストする。さっきは肩の痛みにびっくりして気が付かなかったけど、キャストの時にスナップを効かすと手首にも痛みが走る。さらに右腕の握力をつかさどる筋肉も筋肉痛とまでは行かないけど、力を入れると微妙なだるさを感じる。
「なんてこった」
年に数回しか楽しむ事の出来ないボートシーバス。だからリールに油を差し、ラインシステムを組みなおし、塗装のはげたルアーは新しいルアーと交換し、睡眠や体調管理に気をつけて、万全の体制で臨んでいたのに・・・なのに、肩や腕が痛くてロッドが振れないなんて、いったい何のために大枚叩いて、朝早くからボートに乗ってんだよ・・・・・・悲しくなってきた。
しかし、キャストを繰り返していくうちに、この痛みは顔をゆがめるほどのものではない事がわかってきました。投げる時に肩と手首がピクッと痛む程度。フルキャストせずに8分程度の力で投げていれば、「痛みを我慢する」と言うレベルまでは行かす、多少痛みが走る程度で済みそうです。
「これなら今日一日くらいは何とかなりそう」
万全の体制とはいえないもの、かなり希望が出てきました。
つまみ食いでは釣果が上げられないまま荒川に到着。
ライトで照らされた明暗部のストラクチャーを丹念に探っていくと、しばらくして忘れかけていたバイトの衝撃がロッドの震わす。
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着水したルアーを、1メートルも引かないうちにバイトして来た出会い頭のHIT。
「喰わした」という感覚とは程遠いものでしたが、それでも久々のファイトを存分に堪能。
今年初めてのシーバス。 |
「さあ、釣りまくるぞ〜」と気合を入れな直したのも束の間、ここにいるシーバスの数は極端に少ないようで、めぼしい所をルアーを打って反応が無いのを見極めた後、次に移動です。
まだ日が昇るには十分時間があるので、強いライトで明るくなっている場所をメインに攻めて行きます。爆釣とは行きませんが、行く先々でポツリポツリとシーバスが釣れる状態が続きます。
今回、どう言う訳か多くのシーバスがルアーの抜き上げ時にバイトしてきました。
足元まで引いてきたルアーの真下に何かが動く気配を感じた次の瞬間、バッっと白くて大きな口が開きシーバスがルアーに襲い掛かる。シーバスの体は保護色で見えないけど、口の中は真っ白だから、漆黒の海中に真っ白な口が突如として出現するんです。
見慣れた光景だけど、まるで自分が食べられてしまうような感覚に襲われ、毎回毎回心臓が止まりそうなくらいびっくりします。ルアーを喰ったシーバスは、瞬時にそれが異物である事に気が付き、魚体を銀色に輝かせながら吐き出そうと暴れだす。
この時ロッドにグングングンッと衝撃が走る。シーバスがルアーの襲い掛かる直前から、ロッドにアタリが伝わるまでの光景を目の当たりに出来るんですから、これほど興奮する瞬間はありません。シーバサーにとって至福のひととき。
シーバスが抜き上げにしか喰って来ないと言う事は、ルアーを警戒されていると言う事。普通ならシーバスに警戒心を抱かせず、早めに喰わす方法を模索する所ですが、今回はちょっと事情が違っていました。かなりのシーバスがいるようで、抜き上げ時に次から次へと喰ってきます。
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ルアーを抜く場所は足元から2メートル程先。
まるでそこにシーバスが湧いているような感覚です。
ですので、ルアーが足元近くまで来ると、シーバスが襲い掛かる一瞬を逃さないようルアーを凝視し、そして「湧けぇ〜、湧けぇ〜」と何度も何度も念じておりました(笑)。
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この時、肩や腕や手首の痛みはほとんど忘れていました。というのも、抜き上げ勝負だったのでキャストは等閑。とりあえず前に投げておけば良いという程度で、飛距離や方向はほとんど気にせず、腕に負担をかけないようディップの反発だけでルアーを投げていました。
しかし、日が昇り「湧けぇ〜、湧けぇ〜」作戦が通用しなくなると、事態は悪い方向へと転がっていきました。
日が照り始めると、小魚たちはストラクチャーの影など安全な場所に隠れるようになります。ですので、ストラクチャーから離れた場所を泳いでいるルアーなど違和感の塊でしかなく、シーバスは見向きもしません。
しかし、ストラクチャーをタイトに攻めよう意識しだすと、いつものようなキャストが出来ない事に気が付きました。狙った場所から2m近くも離れてしまうような、信じられないミスキャストが多発します。
普段なら、相当油断していて足を踏ん張らずにキャストしてしまったため、キャストの最中に船の揺れに体を持って行かれてしまったような時以外、めったに起こる事が無いようなミスキャストです。
右腕の痛みをかばってのキャスト、さらには右腕の握力の低下で完全にバランスを失ってしまっているようです。ミスキャストの様子を、毎回毎回船長さんに後ろから見られていると思うと、メチャクチャ恥ずかしい(^_^;)
不調の言い訳をしようにも、いい年こいて「ドラクエ」に熱くなり過ぎて腕を痛めたなんて、恥ずかしくて言える訳も無く、「か、風に流されて・・・」と、適当な言い訳しようにも、こういう時に限って完全なる無風状態。
とは言うもの、とんでもないミスキャストのあとでも、平然としていられる程の強靭な精神は持ち合わせておりませんので、「ありゃ、失敗」とか「しまった、変なところに飛んで行っちゃった」なんて、ひとり言とも、言い訳ともつかない発声で精神浄化(笑)。
今回、新しいロッドを持ち込んでいたんですよね。7.6フィートのボートにしては長めのロッド。
護岸など、飛距離が出せればルアーの引ける距離も長くなり、その分HITの確率が上がるような場所での使用を考えていたのですが、今の状態では長いロッドをまともにコントロールなど出来るわけも無く、早々に使用をあきらめました。
「せっかく買った新しいロッドなのに・・・・」
しょうがないですよね、このロッドはとても期待していたのですが、活躍は次回に持越しです。
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シーバスは結構入っているようでした。しかしどのポイントもかなり叩かれてしまっているようで、追いかけては来るものの、なかなかヒットしません。 |
しかし、沢山のシーバスがいれば、中には警戒心より空腹が上回ってしまっているヤツもおりますので、そんなヤツがルアーを食ってきてくれました。
シーバスが警戒している上に、水の濁りもそれ程でもなかったので、今回はホント、沢山のバイトシーンを目撃できました。
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その中でも一番興奮したのがこいつ。ルアーはレンジキーパー95F。着水後30cm程度引いた瞬間、2メートルくらい離れた場所から、ものすごいスピードでルアーに接近するシーバスの魚影を発見。しかし、そのシーバスは高速のままルアーの真下をすり抜ける。 |
がっかりする暇も無く、次の瞬間には別の方向から別のシーバスがまるでミサイルのようにルアーに襲い掛かるも、こいつもすごい勢いでルアーの真下をすり抜けて消えて行く。しかし、次の瞬間にはまた別のシーバスが別の方向から驚くほどの高速でルアーに襲い掛かり、一気に丸呑み。
すかさず合わせを入れると、シーバスは太陽光を魚体でピカッ、ピカッと反射させながら暴れまわり、その衝撃がロッドに伝わる。
「シューッ、シューッ、シュー、バクッ ゴンゴンゴン!」
ほんの一瞬の出来事でしたが、私にとっては一大スペクタクル。
今迄で最高に興奮したバイトシーンでした。
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