気温が低くなるとカナヘビは冬眠します。
自然のカナヘビは自分で越冬場所を選ぶ事が出来ますが、飼育下のカナヘビはそれが出来ないため、こちらで冬眠する環境を整えてあげる必要があります。
秋から冬にかけて、暖かい日は動き回り、寒い日はじっとしているような状態が続くと、カナヘビは徐々に体力を消耗してしまいますので、冬眠への導入は短期間に行うのがベストです。
10月に入り、天気予報の最高気温が24℃を下回るようになりましたら、日の当たるなるべく暖かい場所や、南側の暖かい室内などに飼育ケースを移動し、カナヘビにたっぷりエサを与え栄養を付けさせます。
また、日の当たらないなるべく寒い場所をカナヘビの越冬場所に定め、こまめにその場所の温度を測定します。越冬場所の気温が日中でも15℃を超えないようになったら、暖かい場所で飼育していたカナヘビを、越冬場所に用意した冬眠用の飼育ケースに移し、短期間に冬眠状態に移行させます。
飼育下では、十分なエサが得られるため、冬眠中に餓死してしまう事は、まずありませんので、冬眠で最も重要になるのは湿度管理です。ですので、冬眠用の飼育ケースは、湿度を保つ事を最優先に考えると、失敗のリスクが少なくなります。
では、私が今現在一番良いと考えている冬眠用の飼育ケースをご紹介します。
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飼育ケースは、なるべく大きなものの方が、温度や湿度が安定しますので、適しております。
最低でも深さ25cm程度の「飼育ケース 大」を用意しましょう。 |
いろいろな土を試してみましたが、冬眠用に一番適していると思われたのは腐葉土でした。
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腐葉土は、黒土などと違って、カナヘビがもぐりやすいだけでなく、保温性に優れ、凍結の危険がかなり低いです。
そして、何より保湿力がとても優れていていますし、乾燥すると地表の腐葉土がカサカサになるので、水分補給のタイミングの見極めが簡単です。 |
カナヘビが水槽の底までもぐってしまうと、プラスチック越しに寒さが伝わってしまい、腐葉土の保温力がまったく意味を成さなくなってしまうため、まず最初にケースの底に3cm程度黒土を敷きます。
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黒土には、叩くと水が染み出してくる程度まで、十分すぎる程の水を染み込ませます。
この水は腐葉土への水分補給の役目を担い、水分が多すぎるケースの底と、比較的乾燥した地表の間から、冬眠に最も適した水分量の場所を、カナヘビが自ら選ぶ事が可能になります。 |
この上に、腐葉土を敷きます。
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腐葉土は、園芸用に売られている20リットルで500円程度の安価なもので十分です。
カナヘビがもぐりやすいように、ふわっと、乗せるよう敷きます。
深さは深い方が温度湿度ともに安定しますので、最低でも15cm程度は確保してください。 |
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腐葉土の中にうまくもぐれないカナヘビもたまにおりますので、そういったカナヘビのために、深さ3cm程度のぼみを中央に掘り、そのくぼみの上に板などを置いておくと、カナヘビは板の下に隠れた後、くぼみを利用して腐葉土の中にもぐって行きます。
そして水入れを設置すれば出来上がりです。 |
15℃以下の気温では、消化がうまく出来ないため、エサは食べませんが、冬眠する直前に水を飲む事があります。また、春先、予定より早く冬眠明けしてしまったカナヘビが水を求めて動き回る事もあります。ですので、本格的な冬が来る前や、冬眠明けが近づいた春先などには、水入れの水を欠かさないようにしましょう。
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フタをして、逃げられないようにうまくカナヘビを移し、ケースを越冬場所に安置したら作業終了です。
このあと2週間程度は、一番気温が上がる昼過ぎ辺りに、カナヘビがしっかり冬眠しているかどうか、毎日確認してください。 |
不意に暖かさが戻ったりすると、冬眠せずにエサを求めて地表を動き回っている事がたまにあります。そういった時は、動き回っているカナヘビを一時別のケースに移し、カナヘビが満足するまで十分エサを与えます。そして、寒さがぶり返して来た頃にもう一度、冬眠ケースに移すようにしてください。
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2週間後、カナヘビがしっかり冬眠している事が確認できましたら、乾燥を防ぐために、腐葉土の上にレジ袋などを軽く乗せておきます。
ケース内の温度は腐葉土の発酵熱で外気より高く、常に上昇気流が発生するため、二酸化炭素がケースの底に溜まって酸欠になる心配はありません。 |
さらに2週間後、くぼみを覆った板をどけて、そこにカナヘビがいない事を確認してください。
いなければ腐葉土の中にもぐって行っていますので、問題ありません。
板を元の状態に戻し、そのまま冬眠続行です。
もし板の下で冬眠しているようですと、乾燥してしまう可能性があります。カナヘビを驚かさないように、そっと板を元の状態に戻し、板ごと腐葉土で2cmほど埋めてあげましょう。
本格的な冬が到来しましたら、温度が0度以下にならないような場所・・・玄関や物置、暖房の効いていない室内など・・・にケースを移動します。ただ、日が射すような場所では、ケース内の温度が急激に上昇し、カナヘビが冬眠から目覚めてしまいますので、十分注意してください。
保管場所の温度は、10℃前後が理想です。
冬の間の管理は、2週間に1回程度、腐葉土の乾き具合を確認し、乾燥しているようでしたら、霧吹きで水分補給をしてください。また、腐葉土の厚さは少しずつ減って行きますので、減った分だけ腐葉土を補充してください。
3月になり最低気温が0℃を下回らないようになりましたら、また元の寒い越冬場所にケースを移します。そして、越冬場所の気温が15℃を超えるようになりましたら、日の当たる一番暖かい場所、または暖かい室内に用意した通常飼育用のケースにカナヘビを移し、また短期間でカナヘビを冬眠から目覚めさせます。
カナヘビを冬眠から目覚めさせる時は、通常飼育ケース内の温度が24℃以上ある、暖かい日を選びます。屋外なら直射日光が当たり、ケース内の気温が一気に上昇している時間帯を選び、室内ならライトなど設置し、カナヘビが日光浴によって体温を温められる環境を整えてあげてください。
いきなり腐葉土から掘り出され、別のケースに移されたカナヘビは、しばらくの間、あまり動きませんが、日光浴によって体温が上昇すると、まず水分補給をしますので、鉢受けの皿など、少し大きめの容器で、新鮮な水を沢山用意してあげましょう。
最後になりましたが、カナヘビは冬眠させるのが非常に難しい生き物です。
出来ることなら、夏の終り、まだ寒くならない時期に、捕まえた場所に逃がしてあげるのが良いと思います。
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