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コオロギの飼育


一年を通して小さなコオロギを入手するには、卵を産む親虫の確保が非常に重要です。
毎回買っていたのでは出費が大変ですが、寿命が近い成虫を常に確保しておくのも難しいことです。

そこで、なるべく手間をかけずに親虫を常にストックしておく方法として、
自然に近いサイクルでの飼育方法を実施しています。

すなわち、水槽の中で繁殖を繰り返し、常に世代交代している状態を作り出す飼育方法です。




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コオロギの飼育に使用しているのはアクアリウム用のガラスの水槽 です。水槽の幅は60cm。ホームセンターなどで2000円程度で売られているものです。

この60cmの水槽に合わせて金網のフタが市販されていますが、金網のフタでは目が粗く小さいコオロギが脱走してしまうため、網戸の張替用ネットを購入し、それを適当な大きさにカットしてフタと水槽の間に挟んで使用しています。

その水槽に土を敷きます。
土はこれまたホームセンターの園芸コーナーで売られている黒土。

14リットル入りで値段は300円でした。

「ふるい通し」と書いてありますが、かなり大きな塊が入っておりますので、敷く前にふるいにかけ、大きな塊は下に敷き、コオロギが産卵する表層3cm程度はきめの細かいものを敷くようにします。

そして小松菜の種を蒔き、エサ皿と隠れ家になるものをセットしてコオロギの飼育水槽が完成です。

コオロギたちは小松菜をほとんど食べませんが、エサをあげ忘れた時や、霧吹きを忘れた時などの非常食兼隠れ家として、非常に有用です。

小松菜の成育には、ある程度強い光が必要ですので、室内での飼育の場合はなくてもかまいません。

隠れ家として使用しているのは、園芸コーナーなどで売られている「インテリアバーグ 」という木片です。

折りたたみ式の携帯電話よりひと周りほど小さな大きさで、重ね合わせると適度な隙間が出来ます。

大量にコオロギを飼育するとなると、使い捨ての紙製シェルターでは交換が大変ですので、安くて場所をとらない効率の良いシェルター作りにはうってつけだと思います。

コオロギの餌として使用しているのは鯉の餌でおなじみの「スイミー 」です。

スイミーにたどり着くまでは、麦芽から魚粉、粉ミルク、プロテイン、きな粉、米ぬか、釣り用撒餌などなどいろいろ試しましたが、結局一番食いが良く、食いが落ちないのがスイミーでした。

コオロギ専用のエサや、金魚用のエサなど、スイミーより多少食いが良かった物もありますが、値段の安さを考えればこれが一番良いと思います。

スイミーが手に入らない場合は、バリエーションが豊富で入手しやすいひかり や、大量購入で安くなるひかりデイリー がお勧めです。

スイミーは乳鉢ですりつぶして与えています。

粒のまま与えると、コオロギが餌皿からスイミーをおのおの一粒ずつ棲家にもって帰り、食べきれずに残したスイミーを腐らせてしまう結果なります。

スイミーだけでは栄養バランスが心配だと思われる方もいると思いますが、私は縁日で買ってきた5cm足らずの亀を、スイミーだけで30年間飼育し、30cmの大きさまで育て上げた実績があります。

今でも1日スプーン一杯のスイミーで元気に育っています。

カルシウムなどの栄養バランスが非常に繊細といわれる亀でさえ30年も飼育できたのですから、コオロギやそれを捕食するカナヘビにとっても十分バランスが取れたエサだと思います。

そしてもう1つのエサが、カブトムシなどの甲虫用として売られている昆虫ゼリー です。

魚類や爬虫類などの脊椎動物と、昆虫とでは運動するのに必要なエネルギー源が多少違うため、昆虫用に開発されたエサも与えた方が良いのではないかと思い、与えています。

あまり食いが良くなかったため、一時期与えていなかったのですが、与えなかった時期にコオロギの死亡率が上昇したため、今では欠かさず与えるようにしています。

ちょっと話はそれますが、ライオンは野菜を食べていないのにビタミン不足になりません。
なぜかと言うと、獲物の血液や、腸や胃の中にある消化が進んだ草を食べてビタミンを補給しているからなんです。ライオンは貴重なビタミンを補給するために、まず獲物の内臓から食べ始めます。私たちには美味しそうに見えるモモ肉からかぶりつかないのは、そういった理由があるからなんです。

カナヘビにも同じような事が言えます。コオロギの血液や、お腹の中に残ったスイミーは、カナヘビにとって貴重な栄養源になりますので、コオロギにもバランスの良いエサを与えましょう。

コオロギの飼育で一番難しいのが水分管理です。

コオロギと言うと、暗くジメジメした場所を連想しますが、ヨーロッパイエコオロギは乾燥した場所を好み、土の湿り気が多いと、高い場所に避難するほど湿気を嫌います。

ですので、水呑場をきちんと確保した上で、土の表面は常に乾燥した状態を保ち、湿気がこもらないようにしてください。

盛り土や軽石などで高い場所を作ったり、カサカサに乾燥した枯葉などを入れておくと、土の湿気を嫌ったコオロギの退避場所になります。

小松菜を植えている場合は、土で高い場所と低い場所を作り、低い場所に小松菜を植え水をまき、高い場所は常に乾燥した状態でコオロギの住処にすると良いでしょう。

コオロギの飼育が順調に進めば、水槽内に繁殖用のコオロギをたくさん確保する事が出来ます。

さらにコオロギの繁殖が順調に進んでこれくらいの数になれば、水槽内に小さいコオロギだけを捕まえるトラップを入れる事により、養殖用ケースを使う事無くカナヘビのエサを確保できます。



トラップは簡単。

10cm角ほどの薄い板を2枚用意します。

そして、2枚の板の間に隙間が出来るよう、ワッシャーを挟んでボルトで固定します。

この上にエサ入れを置いて、コオロギの飼育水槽に設置すれば、エサを食べたコオロギがそのまま板の間に隠れます。

ワッシャーの厚さを1mmくらいにすれば、生まれてから1ヶ月程度の、カナヘビに最適な小さなコオロギだけを確保する事が出来ます。

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