1つの菌床ブロックに割り出し直後の幼虫をたったの3頭しか入れないないという何とも贅沢な飼育法。1頭あたりの菌床量はハチミツ600なら3本分。ハチミツ1000をも上回る菌床量を誇っています。
これだけのスペースを与えられ、伸び伸びと過ごした幼虫たちは、一体、どれくらいの大きさに育っているのでしょう。とても気になりますが、菌糸ビンと違って菌床ブロックの中の幼虫たちの姿はまったく伺い知る事が出来ません。
「ブロックの交換は投入から3ヵ月後」
そう決めています。そりゃそうですよね、割り出し直後の幼虫をハチミツ1000より大きいビンに入れたのと同じ状態ですので、交換時期は3ヵ月後ぐらいが妥当です。
しかし、中の様子が分からないとなると、どうなっているのか気になるのが人間ってモンです。
「ちょっとだけ、菌床を掘り返してみようかな」
温室内の様子を確認するたびに、好奇心がくすぐられます。
「途中経過のデータを取るという正当な理由があるじゃないか」
悪魔のささやきも聞こえます(^_^;)
しかし、全ての誘惑を振り払い、菌床ブロックの交換まであと2週間と迫った時、事件が起こりました。
朝起きて、いつものように異常がないか温室内を確認していると、またもや幼虫が暴れて崩れてしまった菌床ブロックを発見。
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「もしかして、この菌床は・・・・」
菌床ブロック飼育は2通り。1つは1頭あたりの菌床量を菌糸ビンに合わせたもの。
そしてもう1つは菌床ブロック1つに幼虫を3頭しか入れず、1頭あたりの菌床量を大幅に増やしたもの。
「どっちの菌床ブロックだ?」
菌床量を菌糸ビンに合わせた菌床ブロックは先日交換したばかり。今、暴れられたのでは菌床ブロックを1つ丸々無駄にしてしまいます。 |
恐る恐る菌床ブロックを覆っているビニールにマジックで書かれたデータを見てみると・・・。
「3頭しか入っていない方の菌床ブロックだ!」
とりあえず、交換したばかりの菌床ブロックがそのまま無駄にならず安堵。
3頭しか入れていない方の菌床ブロックなら、投入してからすでに2ヵ月半。あと2週間で交換予定ですから、暴れられても経済的なダメージはそれほどありませんもんね。
「こいつは即交換だな」
と、言うことは・・・・そう、合法的に中の様子を見る事が出来ます(^u^)
別に3ヶ月間は見ちゃいけないって、法律があるわけじゃありませんけどね(笑)。
さあ、投入直後からハチミツ1000より多くの菌床を与えられた幼虫たちは、一体どれほど成長しているのでしょう、ワクワクします。
菌床ブロックをビニール袋からそっと取り出し、たらいの中に置いて崩れている場所の菌床をどかしていくと・・・・
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いましたいました。
大きさからいってオスの幼虫のようです。
こいつが暴れて菌床ブロックの白い外壁を崩していたようです。
丸々と太ったその体、とても期待が持てます。 |
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慎重にブロックを崩していくと・・・
またいました。こちらもオスのようです。 |
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そしてさらにもう1頭。
またまたオスの幼虫。
なんと、菌床ブロックに投入した幼虫全てが生存していただけでなく、全てがオスという偶然が起きてしまいました。
割り出し直後の幼虫は死亡率が高いし、メスだけだと実験が成立しないため、1ブロックに3頭ずつ入れたのに・・・・。 |
3頭全てがオスだったのでエサが足りなくなって、暴れ出してしまったのでしょうか?。
しかし冷静に考えると、1頭あたりの菌床量はハチミツ1000より多いんですよね。
菌床の量は十分過ぎるほどあるはずなのですが・・・・。
驚くほど大量に食べたのか、それともお互いの存在が気になっての事なのか。
幼虫の体重を計測してみれば、おのずとその原因が分かると思います。
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気になる体重測定をすぐにでもしたいところですが、その前に菌床ブロックの様子を調査。
白い部分はほとんど残っていません。
きれいに掘り返されている感じ。
しかし、全て食べているかといえばそうでもなく、糞となっているのは全体の半分くらいでしょうか。
残りの半分はただ掘り返しただけのようです。 |
「食べたのは半分くらいか・・・・」
それでも、1頭当たりハチミツ600を1.5本分食べた計算になります。
割り出し後からハチミツ600に投入した比較用の幼虫たちより、ずっと成長している可能性があります。
さあ、幼虫の体重を量ってみましょう。
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今日ビン交換した菌糸ビン飼育の幼虫たちの中には20gを超えるものもおりました。
一番小さかった幼虫でも16.8g。
菌糸ビン飼育の幼虫たちは割り出し後、すぐに狭いハチミツ600に閉じ込められていたというのに・・・・。 |
1頭当たりの菌床量がハチミツ600の3倍もある菌床ブロック飼育の方が大きくならないなんて、予想だにしていませんでした。
「まとめ飼いの弊害か・・・・」
狭い場所に閉じ込められた事は分からなくても、近くに仲間がいる事は音で分かります。
時がたつにつれて仲間の活動音が遠ざかって行けば、周囲にエサとなるスペースが十分広がっている事が予想できます。逆に、仲間がいつまでも遠ざかっていかないとなると、周囲にエサとなるスペースがほとんど広がっていないと判断できるはずです。
少ないエサを奪い合えば、共倒れになる。
幼虫たちのDNAには過去の失敗が確実に刻み込まれているはずです。
そしてそのDNAの指示に従い、自らの食べる量を調整したのかもしれません。
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この3兄弟には新たな実験に協力してもらいました。
1頭は菌床ブロックでの単独飼育。
残りの2頭はまとめ飼い。
ここまで同じような成長過程をたどって来た3兄弟に、どのような変化が現れるのでしょうか。
あれやこれやといろいろ仮説を立てたくなりますが、すぐに結果が出ますので、それまで待つ事に致しましょう。
3ヵ月後、結果が出ましたら、また新たな考察と共にご報告いたします。 |
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