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2008年6月15日 産卵木の湿度
恒例となりました、第3回目の割り出しです。今回の割り出しはセットナンバー「1」と「2」だけ。
「3」と「4」の産卵木は、まったく削られていなかったため、交換せずにもう1週間産卵させたという、忌まわしき思い出のある産卵セットの割り出しです。

さすがに3回目ともなると「以下同文」で、HPに書くに足る出来事はないだろうと思いつつ、割り出しを始めてみると、意外や意外、いきなり今までにないパターンからのスタートです。

いつものように、産卵木を保管している飼育ケース(小)をひっくり返し、産卵木とそれを埋め込んでいる発酵マットをたらいの中にあけると、そこにはいつもとちょっと違った光景が。


画像にポインタを合わせてみよう。クリックしちゃダメだよ
「あっ、幼虫」

思いがけない出来事にちょっとびっくり。

だって、今まで8セットも割り出して来ましたが、マットの中に幼虫がいた事なんて、一度もありませんでしたから。

先週までは、ケースの外からマットの中にいる幼虫が見られるのではないかと、割り出す前にケース面を一通り確認する事もありましたが、ケースの外から見えるどころか、マットの中にさえ幼虫はいませんでしたので、今回はケースを外から確認しようなんて思ってもみませんでした。

ですので、ケースの底から見える位置に、2匹もの幼虫がいた事にびっくり。

「産卵木から出てきた幼虫に少しでも栄養価の高いものを」と言う事で、今回は産卵木を保管するマットに栄養価の高い発酵マットを使用しましたが、「初令初期で割り出す場合は、幼虫が産卵木から出る事はまったくないので、産卵木を保管する埋め込みマットは、安物のマットで十分」という教訓を学んだつもりでした。

しかし、どうやらその教訓は正しいとは言えないようです。

「珍しい事もあるもんだなぁ〜」と思いつつ、飼育ケースと同じ形に固まっていた発酵マットを崩していくと、なんと、発酵マットからまた新たな幼虫が現れました。

さらに発酵マットの中を丁寧に調べて行くと、もう1頭。合計4頭もの幼虫が、産卵木を脱出し発酵マットの中にいました。

「なんで、この産卵セットだけ・・・・?」

確率と欲望が高い次元で交差する最高の答えは、なんてったって「爆産」。小さな産卵木に沢山の卵が産み付けられたため、幼虫が産卵木からあふれ出てしまったという、よだれが出そうな予想です。

「じゅる」

口元を手でぬぐい、喜び勇んで産卵木の割り出し開始です。

バキッ、メリッ、ミシミシ・・・・

「なんだ、この産卵木?」

バキバキバキッ

めちゃくちゃ硬い。いつもならフニャフニャにふやけて、手で軽く裂けるほどになっているはずの産卵木が、硬くて道具なしにはとても割る事が出来ません。しかも、カサカサに乾燥していて、割るたびにバキバキ、ミシミシすごい音が鳴ります。

表面は多少湿っているものの、中に行くにつれてドンドン湿り気がなくなり、芯の近くはほとんど乾燥した状態。それに、いくら割っても幼虫どころか食痕さえ見られません

「この産卵木は、もしかして・・・・」

どうやら、産卵セットを組む時に、間違って水に浸していない産卵木をセットしてしまったようです。

表面が多少湿っているのは、マットの湿り気を吸収したためでしょう。

しかし、完璧に乾燥させて保存していた産卵木だったようで、マットの湿り気も芯までは到達できなかったようです。

産卵セットから産卵木だけを取り出し、発酵マットで埋め戻したので、卵はマットではなく産卵木に産んでいた事は間違いありません。ですので、メスは埋め込みマットの湿り気を頼りに、産卵木の表面近くに産卵し、そして生まれた幼虫たちは湿度を求めて、乾燥した産卵木から発酵マットへと移動したようです。

割り出せた幼虫は4頭。その全てが産卵木から発酵マットへと移動していました。

乾燥した産卵木をセットしてしまった事は、産卵失敗に直結してもおかしくない、とんでもない失敗でしたが、そのおかげで幼虫たちは産まれてすぐに栄養価の高い発酵マットを食べる事が出来たのですからまさに、塞翁が馬。

乾燥した産卵木を使うと、幼虫は発酵マットの中に出て来てくれますので、産まれてすぐ栄養価の高いエサを食べられます。幼虫がマットに出て来れば私は割り出しが楽。親のメスは産卵木の表面に産卵するので、産卵木を深く削る必要がなく楽。もしかして、すごく画期的な産卵セットだったりして・・・まぁ、産卵に失敗する確率がどの程度か調べる必要はありますが(^^ゞ

で、セットナンバー「2」からは幼虫を5頭割り出し、今回の割り出しは終わり。

産卵セットナンバー
「1」
「2」
「3」
「4」
合計
割り出した幼虫
前々回
前回
今回


15
10




26
26
割り出した卵
前々回
前回
今回









11
合計
19
32
15
10
76

こう見ると、セットナンバー「2」の活躍が目立ちますね。

割り出し頭数がガクンと落ちてしまいましたが、来週はさらに厳しい状況が予想されます。
100頭を目指しておりましたが、80頭程度に落ち着きそうですね。無精卵を計算に入れると70頭を切るかな。

大型のメスを4頭も使ってこの結果となると、産卵木を途中で取り出してしまうというのは、メスにかなりのストレスを与え、それが産卵数減に繋がってしまっていると考えて間違いなさそうです。しかし、初令初期で割り出すとなると、この方法がベストのように思えます。

下手な鉄砲で行くか、それとも少数精鋭で行くか。

その後の幼虫の育成方法に合わせた産卵セット方法の選択というのも、とても重要な要素になりそうですね。

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