産卵セットにメスを投入し、1ヵ月ほど産卵させたらメスを取り出します。
卵や非常に小さい幼虫の段階で割り出してしまうと、その後の生存率が非常に低くなってしまいますので、メスを取り出したあと、産卵セットの中である程度成長させてから割り出します。
サイズ的にはパチンコ球ほどの大きさがベストだと思っております。このサイズなら自力で菌床に潜っていけます。それよりも小さいと菌床に潜って行かず死んでしまうことがありますし、あまり大きく育ってからだと初期の段階で栄養が豊富な菌床を与えることができません。
目安としてはメスを取り出してから3週間ぐらいでしょうか。菌床産卵の場合は栄養豊富な菌床を食べられますのであわてずに4週間以上おいて十分成長させてから取り出したほうが良いと思います。
|
産卵の痕は個体によってさまざまなようです。
左の写真は目に見えて削っているタイプ。
たてに入れた産卵木の芯をくりぬくようにして坑道を掘っています。ほかにも産卵木の側面をえぐるようにして底のほうまで削った跡が見えます。
これだと産卵している可能性がかなり高いですね。 |
|
地上に見えた部分にはまったく手を加えないメスもいます。たぶん警戒心の強いメスではないかと思いますが、そういった場合でもマットから引っこ抜くと地下の部分がしっかり削られて産卵していることのほうが多いので、がっかりせず待ちましょう。
写真右の産卵木の様に、メスの体高に合った幅広の切込みがあると多産の可能性がかなり高いです。 |
|
菌床産卵の場合は外壁を削るようなことはせず、1、2箇所出入り口を作って産卵することが多いようです。写真のように出入り口があって菌床がほぼ原形をとどめていていれば産卵の可能性は大です。
逆に菌床をぼろぼろにしてしまっている場合は産卵の可能性が低いです。 |
|
菌床は乾燥しやすいですが、水をはじくため霧吹き等での加水ではあまり効果がありません。
私の場合、メスを取り出したあと、新聞紙を四つ折にして水を十分含ませたものを菌床の上に乗せて保管しています。週に一度新聞紙に水を十分含ませるだけで、菌床内の水分は非常に良い状態で保たれました。 |
|
菌床の場合は手ボロボロ砕くことができますし、普段私が使っているやわらかい産卵材もほとんど手だけで割り出すことができますが、硬い産卵材や芯の部分等はナタを使っています。
2cmほど切り込んでナタを倒し、テコの要領で産卵木を割っています。 |
|
あとは幼虫を傷つけないように割り出すだけ。幼虫は綿くずのような食痕を残して先に進んでいきますので、食痕を見つけたら十分注意して割り出しましょう、近くに幼虫がいるはずです。 |
|
保管時の水分が多すぎると、幼虫は多すぎる水分から逃れるために硬い芯の部分に移動してしまうので、割り出すのが難しくなりますが、硬い芯の部分に幼虫が作った部屋の表面はツルツルでとてもきれいです。 |
|
菌床産卵の食痕は綿くずのようになりませんが、左の写真のように幼虫が進んだあとは茶色くなっているのですぐにわかります。 |
|
取り出した幼虫を入れる菌糸ビンですが、200ccのプリンカップ(一番左)を使うと良いと思います。割り出し頭数がわからないため、多めに作っても菌床の無駄が少なくてすみます。
さらに、小さいうちは死亡する確率が高いので、大きな菌糸ビンだと死亡した時の無駄が多くなります。 |
大きな菌糸ビンに投入すると、なかなか食痕が現れず不安な日々をすごす事になりますが、
小さなプリンカップだと食痕がすぐ現れ小さな幼虫の観察に適しています。
|
また、次の菌糸ビンに移す時も、まだ小さいうちに移すため、菌糸ビンだと掘り出しが非常に困難ですが、プリンカップなら菌床ごと取り出す事が出来てとても便利です。 |
プリンカップを使うときは換気に注意しましょう。プリンカップによっては非常に密閉性が高く、酸欠になって菌糸が再生しないものもあります。とりあえず1つだけ菌床を詰めて菌糸の再生を確認してみましょう。もし、4日たっても菌床が再生せず酸っぱいにおいがするようなら酸素が供給されず菌床は死滅しています。プリンカップに針などで小さい穴を開けてから使用してください。
穴は2、3ヶ所で十分ですが、フタにあけると水滴でふさがれることがあり、本体側面上部に開けても菌糸が競り上がってきてふさいでしまう事がありますので、保険の意味で多少多めにあけておくと良いでしょう。
次は幼虫編 |