ペアリングの準備に入るべく、1月1日に去年羽化した個体のうち、有望なオス2頭メス3頭を温室に移しました。冬眠から目覚めるのに数週間かかるだろうと思っておりましたが、なんと半日もしないうちにゴソゴソとケース内を歩き出してビックリ。
「おっ、これは予定より早くペアリングできるかも」
期待に胸を膨らませつつじっくり腰をすえて観察開始。
「ペアリングを開始するための見極めは・・・・?」
う〜ん、難しいですね。歩き回った挙句、また冬眠に入ってしまうかもしれませんし・・・。
とりあえず、エサをたくさん食べ始めて、冬眠で失った体力が回復してからと言うことにしましょう。
ところが、その日も、次の日も、また次の日も、ただずっとケース内をさまようだけで一向にエサを食べようとしません。かといって、冬眠に戻るわけでもなく、何かを捜し求めるようにひたすらケース内をさまよっています。
「なにを、探しているんだろう?」
そのとき、頭に浮かんだのが「ペアリングの相手」
オスのほうは多少エサを食べているみたいですが、メスは3頭そろってエサも食べずにゴソゴソゴソゴソ。
「ペアリング相手を探すにしても、冬眠で体力を失っていないのだろうか?」
分からないことだらけ(笑)。
冬眠で体力を消耗する・・・・リスとかクマではよく聞きますよね。
でも、よくよく考えると、リスとかクマは恒温動物。冬の間でも最低限の体温を保つために蓄えたエネルギーを消耗する。だけど昆虫の場合は冬眠というより仮死状態。呼吸をしなけりゃエネルギーの消耗もない。現にヤゴなんかの水生昆虫はほとんど無呼吸。
そう考えると、冬眠する前に蓄えたエネルギーがほとんど残っていて、春になるとまずペアリングの相手を探すのかもしれませんね。
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特に国産のオオクワガタの場合、ペアリング中、メスの食事に邪魔が入らないように、ずっとオスが寄り添って周りを警戒している様子を良く見かけますから、まず、オスが確保しているであろう安全なエサ場を探すのもうなづけます。
「でも、去年はこんなことなかったよなぁ〜」
記憶にも記録にもありません。でも、去年は屋外で春を迎えたため、早春に与えたエサを食べなくても「まだ冬眠中か」くらいに考えていて、この時期を見逃していたのかもしれません。
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「きっとそうに違いない!」
確信はないんですけど、自分に言い聞かせる。
さまよい続けること4日目で、ペアリングをさせるべくオスのケースにメスを移動させました。
するとどうでしょう。今まで落ち着きなく這い回っていたメスが、次の日には嘘のようにエサを食べ始めました。やっぱりペアリングの相手を探していたんですね。
それからと言うものの、メスはひたすらエサを食べ続ける毎日。明けても暮れてもエサエサエサ。いったいあの体のどこにこれだけエサを蓄えられる場所があるのかなぁ〜。
この栄養は活動のための栄養ではなく、体内で卵を作るための栄養なんでしょうね。
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オスのほうはといいますと、メスと一緒に食事をしているときもあれば交尾をしているときもあり、なかなか忙しそう。
でも、いつでもメスに覆いかぶさるようにして周りを警戒しています。メスが安心してエサを食べられるように、別のオスがまとわりつかないように・・・。
オスもなかなか大変ですね(笑)。 |
しかし、メスに寄り添ってあたりを警戒していたのはたったの4日だけ。
それ以降はエサ台の下に隠れて出てこなくなってしまいました。
う〜ん、やっぱ周りを警戒していたんじゃなくて交尾だけが目的だったのかぁ〜?。
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メスはと申しますと・・・・
相変わらず食事のみ(笑)。
もう、一週間近く食べ続けています。
でも、卵に栄養を蓄える重要な時期ですから、たくさんたくさん食べてください!。
わたしも、全力でバックアップ!。メスが好きなときに好きなエサを食べられるように、4種類のエサをセット。 |
10円、20円を惜しんで卵に栄養が行き届かなかったら悔やんでも悔やみきれませんからね(笑)。
さて、問題は産卵セットに移す時期の見極めですね。
これも彼女たちの意志に任せようと思います。このまま食べ続けて、必要な栄養を十分摂れば、やがて、産卵場所を求めてさまよい歩くようになると思います。彼女たちが出すサインを逃さずに観察していれば最高のタイミングで産卵セットに移せるはず。
うまく行くかどうか分かりませんが、去年のペアリングはあまり覗き込まずにそっとしておく方針で行きましたので、今回はじっくり観察したいと思います。
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