もっと被写体に寄った写真を撮りたい!。
その願いをかなえてくれそうなアイテムを発見しました。
その名は「クローズアップレンズ」
カメラに装着するだけで、手軽に近接撮影が出来るという触れ込みのレンズです。
レンズと言うとかなり高額な印象がありますが、値段は2000円程度と言う事でさっそく買ってしまいました。
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「ケンコー AC クローズアップレンズ
」
No.3とNo.5 共に約2000円
ナンバーは2〜5まであって、数字が大きくなるほど倍率が高くなるそうです。2枚重ねする事で更に高倍率になるとか。
数値をグラフで表示していましたが、素人の私には何の事かさっぱり分からず、とりあえず一番高倍率のNo.5と中間のNo.3を買ってみました。 |
ACクローズアップレンズのほかにもMCクローズアップレンズというのがありました。
MCクローズアップレンズの方はかなりお安め、レンズが一枚で虫眼鏡を通して写真を撮るようなイメージのものです。ACクローズアップレンズの方は1郡2枚のレンズを使用し、画像のゆがみなどを多少考慮した作りになっているみたいです。
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デジカメFZ2にNo.3とNo.5のクローズアップレンズを取り付けてみました。
このレンズ結構ズシリと重いです。
まさにガラスの塊といった感じ。分厚いガラスで出来た高級灰皿を連想させます。
本体が軽量なだけに2枚つけると余計重さが目立ちます。
気軽に外に持ち出す事を考えたら、1群2枚のACクローズアップレンズより、1枚だけのMCクローズアップレンズのほうが良かったかも。値段も安いですしね。 |
では、さっそくインプレッションです。とりあえず10cmくらい離れたところに500円玉を置いて、ズーム無しでマクロ撮影してみました。
マクロ撮影 ワイド端 被写体までの距離10cm
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クローズアップレンズなし
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クローズアップレンズ No.3 装着
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クローズアップレンズ No.5 装着
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クローズアップレンズ No.3とNo.5 同時装着
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「え〜っ、ほとんど変わっていないじゃん、やられた!」って感じ。
たったこれだけ大きくするために2000円も払ったのではあまりにも高すぎ。
意気消沈の中、それでもNo.3とNo.5を装着したFZ2で、水槽の中の風景をいろいろと試し撮りしていると、不思議な現象に出くわした。
今までは1メートル以上離れないとピントが合わなかったテレ端側(最大望遠)で、なんとレンズのすぐ前の被写体にピントが合ってしまう。
レンズの先10cm程度の被写体に対し、12倍ズームでピントが合う。
逆に、今までピントがあっていた1メートルの距離かだらと、12倍ズームでピントが合わない。
「どうなっているんだ?」
何度やっても同じ。どういうわけかテレ端側でのピントが合う範囲が変わってきているみたい。
同様に、ワイド端でのピントが合う範囲も変わってきている。
「こいつは調べるっきゃない」
さっそく実験です。
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シーバスを釣った時、体長を測るためのメジャーを持ち出して、どのレンズがどれくらいの距離でピントが合うのかテストしてみました。 |
すると、驚きの結果が!。
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マクロ撮影 ワイド端
ピントが合う範囲
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マクロ撮影 テレ端(12倍ズーム)
ピントが合う範囲
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クローズアップレンズ 無し
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3cm〜数メートル
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100cm〜数メートル
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No.3 装着
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0〜数メートル
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26〜34cm
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No.5 装着
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0〜170cm
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17〜19cm
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No.3とNo.5 同時装着
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0〜28cm
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10〜12cm
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う〜ん、なんかスゴイ。
なにがすごいって、一番驚いたのがNo.3とNo.5を同時装着して12倍ズームすると、ピントが合う範囲が2cmしかない事。こりゃ、ピント合わせをカメラの微妙な距離調整で行わなくちゃならない。
しかし、実はこのデータからもっと驚愕の事実が浮かび上がってきた。
今まで10cmくらいの距離だとズーム機能が使えずワイド端で撮影していた。
しかし、クローズアップレンズNo.3とNo.5を装着すれば、同じ距離から12倍ズームで撮影できる。
つまり、レンズ前10cmの被写体を12倍ズームで撮影できる訳です。
もうこうなるとカメラというより顕微鏡ですね。
さっそく実験してみました。テレ端(12倍ズーム)でピントが合うギリギリの距離まで接近しての撮影です。
マクロ撮影 テレ端(12倍ズーム) ピントが合う限界まで寄っての撮影
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クローズアップレンズなし
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クローズアップレンズ No.3 装着
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クローズアップレンズ No.5 装着
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クローズアップレンズ No.3とNo.5 同時装着
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「おお〜〜」
なんかすごい、感動です。デジタルズーム無しでここまで寄れました。
クローズアップレンズを装着すると最大ズームでもドンドン寄れる。ドンドンでかくなる。
そう、クローズアップレンズというのは、光学ズームと共に機能して初めてその真価が発揮される物なんですね。
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クローズアップレンズNo.3とNo.5を装着し、10cm程度の距離から光学12倍ズームで撮影した写真の「成」の部分をトリミングしてみました。
この画像は幅300ピクセルですが、実際は380ピクセル程ありましたので、画像ソフトを使ってデジタル縮小しました。そう、拡大じゃなくて縮小しているんです。
もとの画像なら、あと2倍くらいのデジタル拡大に耐えられます。200万画素のカメラでここまで行くとは、まさに驚愕。もし私のカメラが500万画素級だったら・・・・。 |
でもクローズアップレンズというのは、その特徴をよく理解していないと、なかなか使いこなすのは難しいようです。下の写真は28cmの距離に置いた500円玉を撮影したものです。
冒頭に出てきた撮影範囲の表を見ても分かる通り、28cmの距離だとテレ端(12倍ズーム)で撮影きるのはNo.3のレンズだけです。その他のレンズはテレ端(12倍ズーム)ではピントが合わず、ズーム倍率を下げて撮影しなければなりません。
12倍ズームでピントが合う範囲を少し超えたら、倍率を少し落とせばよい思っていたのですが大違い。
いきなり6倍程度まで落とさないとピントが合わないのです。なんとも不思議な現象。
カタログなどを読み漁ると、望遠は「テレ端」と「テレ端以外」で撮影範囲が大きく異なり、「テレ端」というのは特別な存在ようです。
ワイド端マクロで5cmまで接近して撮影できますが、ズームする事により接近できる距離は段階的に遠くなり、11倍時に最大で200センチになるそうです。しかし、テレ端(12倍)では「テレマクロ機能」が働き120cmまで接近できるようになるとの事。
ですから、高倍率のクローズアップレンズを装着すれば大きく写せるのではなく、被写体との距離に合わせたクローズアップレンズを装着しないとテレ端での撮影が出来ず、結果的に被写体を大きく写せなくなってしまいます。
下の写真がその例です。被写体までの距離を28cmにして各クローズアップレンズで撮影してみました。
マクロ撮影 被写体までの距離28cm ピントが合う限界までズームして撮影
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No.3 装着
28cmはNo.3が最も得意とする距離
テレ端でもピントが合うのでテレ端(12倍)で撮影
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No.5 装着
テレ端ではピントが合わないため
ピントが合う1.9倍まで倍率を下げての撮影になってしまう
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No.3とNo.5 同時装着
少しでもズームをするとピントが全く合わないため
ズーム無しでの撮影になってしまう
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今度は被写体までの距離を11cmにして撮影してみました。
マクロ撮影 被写体までの距離11cm ピントが合う限界までズームして撮影
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No.3 装着
テレ端ではピントが合わないため
ピントが合う3.8倍まで倍率を下げての撮影になってしまう
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No.5 装着
テレ端ではピントが合わないため
ピントが合う4.2倍まで倍率を下げての撮影になってしまう
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No.3とNo.5 同時装着
11cmはNo.3+No.5が最も得意とする距離
テレ端でもピントが合うのでテレ端(12倍)で撮影
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というわけで、クローズアップレンズの特性をいろいろ実験してきましたが、いかがでしたでしょうか。
クローズアップレンズは、自分の持っているカメラの倍率と、被写体までの距離を考えて選択しなければならないとても難しいものだという事が分かりました。
例えば60cmの水槽内の被写体を撮影する場合、水槽の奥行きは30cmになるので、テレ端でピントが合う範囲が26cm〜34cmであるNo.3が有効的です。手前にいる被写体を撮影する時は自分が下がればよいわけですからね。
そう考えると、テレ端では17cm〜19cmの範囲でしかピントが合わないNo.5はイマイチ使い勝手が悪そうです。逆に日常的なマクロ撮影では今回購入しなかったNo.2の方が使い勝手がよさそうです。
メーカー側の説明では、No.2とNo.3を同時装着するとNo.5と同じ効果になるということですので、
やっぱNo.2とNo.3を購入すべきでした。
それにACクローズアップレンズはちょっと重いですね。画像がどこまで悪くなるか分かりませんが、多少の違いだとしたら軽いMCクローズアップレンズの方が使い勝手がよさそうです。
というわけで結論。
12倍ズームのFZ2でアクアリウムを撮影するなら「ケンコー クローズアップレンズ」のNo.2とNo.3を購入しましょう。更に画像にそれ程こだわらないのなら、ACクローズアップレンズよりMCクローズアップレンズの方が軽くて使い勝手が良いでしょう。 |