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ミジンコの飼育


手間要らずの、一番簡単なミジンコの飼い方のご紹介です。

単にミジンコと言っても、大きく3種類ほどに分けられます。

ミジンコ

人間にたとえると立ち泳ぎの状態で、沈まないように両腕で平泳ぎを繰り返しているタイプのミジンコ。教科書などでもおなじみのお腹が出っ張り、ダルマに似た、いわゆる「ミジンコ」です。
ケンミジンコ

比較的小さく細長い体をしていて、卵を両脇に抱えている個体(写真がそれ)もいます。動きはピョコピョコピョコと、まるでこかまい折れ線グラフを描くようにすばやく動き、その素早さは瞬間移動しているようにさえ見えます。
カイミジンコ

泳いでいるよりも這い回っている事が多いタイプのミジンコ。ハチのようにプ〜〜ンと飛んでは、水草などにピタッと止まり、ちょこまかと、かなり速いスピードで這い回っています。

ここで飼い方をご紹介するのは「ミジンコ」です。「ケンミジンコ」も、ほぼ同じような飼い方ができますが、「カイミジンコ」はまったく飼い方が違いますので、ご注意ください。

ミジンコを飼育するには、まずミジンコを入手しなくてはなりません。ミジンコはどこにいるかと申しますと・・・・どこにでもいます(^_^;)

大都会の真ん中でも、ちょっとした池さえあればそこに住み着いています。

コンクリートで固められ、噴水があるような場所ではちょっと難しいかもしれませんが、池の回りに葦(あし)などの植物が生えているような、最近、公園で良く見かけるタイプの池には必ず住み着いています。

ミジンコと言うと、とても小さく目では見えないイメージですが、意外と大きくて、目を凝らせば簡単に見付ける事ができます。

両腕を平泳ぎの要領で振り下ろしながら立ち泳ぎをしている「ミジンコ」を見付けたら、100円ショップで売られているお風呂の汚れ取り用のネットを使って捕まえましょう。

うまく捕まえられたら、バケツに池の水を多目に入れ、その中に捕まえたミジンコを入れて持ち帰ります。

あまり多いと管理が大変ですので、最初は10匹ぐらいがちょうど良いと思います。ミジンコは環境の良い場所では、メスがメスのみを産んで増えていくため、雌雄のバランスを考慮して採取する必要はありません。採取したミジンコは、ほぼ100%単独で繁殖可能なメスになります。ミジンコと一緒に、3〜5mm程度のタニシも4、5匹一緒に捕まえて帰りましょう(理由は後ほど)。

ミジンコを飼育する容器は、ビンなどを利用しても良いのですが、容器が曲面だと観察する時とても目が疲れますので、できれば四角いプラスチックの容器を用意しましょう。

あまり大きな容器を使用すると管理が大変ですので、飼育するミジンコの数が少ないうちは、100円ショップで売っている昆虫用の飼育ケースを利用すると良いと思います。

ケースはあらかじめ2、3個用意しておきましょう。

エサは一番安定していて管理が簡単な「発酵マット」または「鶏糞」がお勧めです。

「発酵マット」は広葉樹のオガクズを発酵させたもので、カブトムシやクワガタムシの幼虫用のエサとして売られています。

「埋め込みマット」など、クワ・カブ用にはたくさんの種類のマットがありますが、必ず「発酵」と明記されているマットを選んでください。

「鶏糞」はホームセンターなどの肥料コーナーで、発酵させた鶏糞をペレット状に加工したものが売られております。

ミジンコは鶏糞や発酵マットを直接食べる訳ではなく、鶏糞や発酵マットをエサに発生したバクテリアを食べます。

鶏糞は非常に栄養価が高く、バクテリアが大量発生しますので、少ない量でたくさんのミジンコを飼育できる反面、油膜のようなものが水面を覆って水中に酸素が溶けるのを阻害したり、大量発生したバクテリアが酸素を消費したりして酸欠になってしまう事があります。また、ゼリー状のものが発生する事があり、ミジンコがそれに絡まって死んでしまう事もあります。飼育期間が長くなると、水が腐り臭いも気になり出します。

発酵マットは、沈まなかったマットが水面に浮く事はありますが、油膜のようなものが発生する事はありませんし、バクテリアによる分解が緩やかなため酸欠になる事もありませんが、反面バクテリアの発生が少なく、飼育できるミジンコの量は鶏糞に比べると少なくなります。また、水の着色が鶏糞に比べると濃いため、肉眼では観察は出来るものの、写真撮影するとなるとかなり苦労しますが、臭いを出す事はあまりありません。

臭いが気になったり、水が腐らないように水換えをしたり、油膜を取ったりと、鶏糞は管理になにかと手間がかかるため、多少色付きは強いものの、管理にほとんど手間がかからない発酵マットの方がお勧めです。

ミジンコを飼育する水には、水道水は使えません。水道水には殺菌用のカルキ(塩素)が含まれており、人間にはまったくの無害ですが、ミジンコは1日もしないうちに死に絶えてしまいました。金魚の飼育などで使用するハイポなどの薬品でカルキ抜きをした水でも、残念ながらミジンコは生きる事が出来ませんでした。

浄水器でカルキ抜きした水は使えると思いますが、浄水器にも簡易的なものから高性能なものまでたくさんの種類あるため、全ての浄水器の水でミジンコの飼育が出来るかどうかは確認のしようがありませんので、念のため。

私は写真のタイプの浄水器「トレビーノ MK203X」 を使用しておりますが、この浄水器でしたらミジンコの飼育が可能です。

浄水器を使用しない場合は、水道水をタライなどに汲み置きしてカルキを抜きます。

6月〜8月の日差しが強い時期でしたら1日、冬場などは3日〜4日ほど、日の当たる場所に汲み置きしておけばカルキが抜けてミジンコが住める水になります。

鶏糞で飼育する場合は、飼育ケースにカルキ抜きした水を入れ、その中にペレット状の鶏糞を入れます。

鶏糞を多く入れると水がすぐに腐ってしまいます。ペレット1個を4つに割って、そのうちの2つを入れるぐらいがちょうど良いようです。

水をかき回したりしてしまうと、バクテリアによる分解が一気に進んで、水質の急激な悪化や酸欠などを招いてしまいますので、攪拌せず自然に崩れるようにしましょう。

発酵マットで飼育する場合は、飼育ケースの底が発酵マットで見えなくなる程度に軽く敷き、カルキ抜きした水を入れます。

発酵マットは最初、浮いてしまいますが、発酵マット全体に軽く水分を含ませる程度にかき混ぜておけば、2、3日で沈みます。

沈まなかった発酵マットは、そのまま放置しておいても良いですが、気になるようでしたら、100円ショップで売っている「アクすくい」を利用すれば簡単に取り除く事ができます。

鶏糞で飼育する場合も、発酵マットで飼育する場合も、ミジンコ採取に行く前日に用意し、水をなじませておくと良いと思います。

捕まえてきたミジンコ10匹のうち5匹を「鶏糞水槽」または「発酵マット水槽」に移します。

移す方法はスポイト(ピペット)で吸い取るのが一番簡単です。

スポイトは100円ショップなどではなかなか見かける事は出来ませんが、ペットショップなどの熱帯魚コーナーには必ず置いてあります。

長さが30cm程度、容量が10cc以上のものが使い易いと思います。

ミジンコの移動だけでなく、水槽にたまったゴミの掃除や給餌の時など、ミジンコ飼育では多岐に渡って使用しますので、500円程度とちょっと高めですが、購入しておいた方が良いと思います。

バケツに入れて来た池の水の中には、ミジンコを食べてしまうような生物の卵なども混じっている可能性がありますので、バケツの水はなるべく吸い取らないようにミジンコを吸い取り、「鶏糞水槽」または「発酵マット水槽」に移します。

もう1つ、空の飼育ケースを用意し、今度はカルキ抜きした水ではなく、バケツに汲んで来た池の水で「鶏糞水槽」または「発酵マット水槽」を作ります。

池の水にゴミが浮いているようでしたら、100円ショップで買ってきた茶漉しなどを使って濾した後使用すると良いと思います。

最近は金属の茶漉しばかりですが、樹脂製の茶漉しは金属製の茶漉しよりずっと目が細かいのでお勧めです。

「池の水水槽」に残りのミジンコ5匹を移動します。

この水槽は、カルキ抜きした水がミジンコに合わなかった時のための保険の水槽になります。ミジンコは苛酷な環境でも生き延びる事が出来る「耐久卵」を産む事が出来るため、ちょっとした環境の変化でも耐久卵に後を託して死滅してしまう事があります。ですので、飼育しているミジンコが全滅してしまわぬよう、常に複数のケースで飼う事をお勧めします。

飼育ケースに捕まえて来たタニシを1、2匹ずつ入れて作業は完了です。

タニシは水槽の壁面を動き回り、藻を食べたりカビの発生を妨げたりしてくれる、いわば壁面の掃除係です。

藻やカビの菌糸などが壁面に発生すると、ミジンコがそれに絡まり死んでしまう事故が多発しますので、それらを除去してくれるタニシはとても頼もしい同居人です。

しばらくすると「鶏糞水槽」の鶏糞は溶け出し、水も薄茶色に染まります。

この時、水面に皮膜のようなものが形成される事がありますので、ティッシュなどで吸い取りましょう。

「発酵マット水槽」の方は、マットが次々と沈殿し始め、そして水がまるでウーロン茶のようにこげ茶色に染まります。一見、生物など棲めそうにない色の水ですが、ミジンコは元気に新たな環境での暮らしを始めるはずです。

水槽内は栄養多過ですので、日の当たる場所に置くと、すぐにアオコが発生し緑色に濁ってしまいますので、日の当たらない場所で管理します。

1週間もしないうちに小さな赤ちゃんミジンコが観察できると思います。

ミジンコ水槽を増やしたいようでしたら、赤ちゃんミジンコはそのままに、親ミジンコを新たに立ち上げた「鶏糞水槽」なり「発酵マット水槽」に移住させます。

ミジンコ水槽が増えれば、保険用の「池の水水槽」は不要になりますので、住人のミジンコはカルキ抜きの水で新たに立ち上げた水槽に移すか、元の池に逃がしてあげましょう。

発酵マット水槽の管理は、水面のゴミや皮膜をティッシュで吸い取ったり、蒸発して減ってしまった水を補充するくらいです。

鶏糞水槽の場合は水が腐りやすいので、1週間に1回、水槽の水を1/3程度汲み出し、代わりにカルキ抜きした水を補充します。この時、浮いている皮膜やゴミなどを取り除けるよう、水面付近の水を汲み汲み出すようにしてください。水を補充する時は水底の鶏糞を巻き上げないよう、そっと入れるようにしましょう。

「鶏糞水槽」や「発酵マット水槽」はそれだけで生態系となっておりますので、エサをあげる必要はありません。水槽自体も長期に渡ってミジンコを養う事が出来ますが、水槽の壁面などで新たな生物も繁殖しだしますので、できれば1、2ヶ月に一度、新しい水槽を立ち上げてそちらに移住させてあげると、思わぬ全滅の危険から回避できると思います。

冬場、気温が低くなると、ミジンコたちは繁殖をやめ、あまり動かなくなります。暖房のオン・オフによって気温が激しく変動する室内での飼育は、ミジンコたちに負担をかける事になりますのであまり好ましくありません。

水が凍らない屋外か、気温の変化が少ない玄関などで飼育すると良いでしょう。また、観察が済んでいるようでしたら、冬が来る前に元の池に逃がしてあげるのも良い方法だと思います。

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